7月豪雨で2次災害を未然防止、的確な判断と連携で
藤工業に村長から感謝状
7月豪雨で2次災害の危険を事前に察知し、鉄砲水から復旧作業中の多くの人命を守った宮田村新田区の土木建設業・藤工業(後藤孝浩社長)に25日、同村の清水靖夫村長から感謝状が贈られた。的確な判断と連携プレーにより、被災寸前で全員を避難させた功績だが「当然のことをしただけ」と後藤社長。数秒遅ければ惨事を招いた可能性もあり、村長らは「教訓にしなければ」と機敏な対応に繰り返し感謝した。
豪雨により7月19日朝、村内新田区の上の宮浄水場付近で唐松沢が氾濫し、土砂崩落。藤工業は重機を出動させ、他業者や村職員、地元の区役員らと復旧作業にあたった。
後藤社長は、今までの経験から鉄砲水発生の危険性があると直感。偶然、同社は近くで他の仕事をしており、現場の山林を直接目視できる環境にあった。
「とにかく山の木が動いたらすぐに連絡するように」と、監視を指示した。
午後3時前。監視していた社員が異変に気付き、現場で重機を動かしていた作業員の携帯電話に連絡が。そして大声が轟いた。「木が動いた。早く逃げろ」。
鉄砲水が直撃したのは、ほんの数秒後。その場にいた約20人は間一髪難を逃れた。
現場にいた村職員のひとりは「逃げろって言ってくれなかったら、鉄砲水に巻き込まれていた」と振り返る。
この日、役場を訪れて感謝状を受け取った後藤社長は「災害発生後も、現場では何が待ちうけているか分からない。今後は危険を知らせるための対策も十分に取って」と村長らに注文した。