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りんどう、仏花から喜びのシーンにも似合う花に

リンドウ育種家、スカイブルーセト(箕輪町)の瀬戸尭穂さん

りんどう、仏花から喜びのシーンにも似合う花に

高原の空のように青く、水のように涼しげな「青」、ブライダルにも似合う華やかな「ピンク」-。県花リンドウのりんと咲く、清楚で日本的な姿にひかれ、そのリンドウを仏花から脱皮させ、洋花にもマッチする華やかな花に改良、50種類余を品種登録した瀬戸尭穂さん、日本一のリンドウ育種家である。
 花の色はブルー、ピンク、パステル、ホワイト系。筒咲きから花弁が外反転するもの。豪華な3倍体、アレンジしやすいスプレー咲きなど、リンドウのイメージを一新、多彩な花を次々と世に送り出した。

◇山採りのリンドウから育種

りんどう、仏花から喜びのシーンにも似合う花に

瀬戸さんがリンドウの栽培を始めたのは1967年。当時は山取りの株を増やし、夏から秋に出荷していた。「園芸品種がないのなら、自分で作ってみようと」と品種改良、育種に着手した。
 それから40年余り。ササリンドウから耐寒性の強い「晩信濃」を育種したのを手始めに、エゾリンドウから突然変異で現れた淡いピンクの「黎明(れいめい)」。社名にもなった「スカイブルーシリーズ」は「高原の空のように青く、水のように涼しく」と、瀬戸さんのこだわりの「青」、育種に10年の歳月を要した。

◇気の長い品種改良

りんどう、仏花から喜びのシーンにも似合う花に

リンドウの品種改良は種とバイオ技術の2方法がある。種による改良は交配し、種を採る。スカイブルーセトのリンドウは種をまいた年に花が咲き、1年間株を養成すれば、2年目より切花ができる。さらに新品種として固定(品種の特性が95%以上出現する)させるのに、5、6年から長いものは10年以上かかる、気の長い作業だ。

◇リンドウのイメージを変えたセプテンハイジ

りんどう、仏花から喜びのシーンにも似合う花に

アルプスの少女「ハイジ」をイメージした「セプテンハイジ」は濃いピンク、花びらは外反転し「リンドウのイメージが変わった」とセンセーショナルにデビュー。多用途切り花としての将来性に展望を開いた。
 県はこの新品種に着目し、リンドウの作付けを奨励した。県の要請を受け、切り花生産販売が主体だった同社は、育種育苗メーカーに転換し、全国展開していく。
 新品種は加速度的に増え、冠婚葬祭に欠かせない、純白の「ホワイトシリーズ」。白花系から選別した緑花「グリーンベル」。復輪で洋花と調和する「パステル系」と続く。最新品種では1本にピンクと白の花がつく「デュオ」を発売。苗生産が注文に追いつかないほどの人気だ。都会派好みのベージュがかった青「コーヒールンバ」もある。

◇バラのような八重咲き、黄花と夢は広がる

りんどう、仏花から喜びのシーンにも似合う花に

近年、信州大学の中山昌明元教授がバイオの技術で開発した3倍体のリンドウの実用化にも成功、試験栽培に取り組んでいる。「花は大きく、色も鮮やか、花持ちも長いと、良いことばかりだが、栽培は難しい」とか。
 リンドウは真っ直ぐ伸びた茎から先のとがった葉が対生し、その葉腋に花をつける。「棒状でアレンジしにくいという欠点を克服するために、スプレー咲きも育種した」。
 高山植物であるリンドウは、暑さに弱い。「今年の暑さで日焼けを起してしまった。今後は地球温暖化に対応し、耐暑性のある品種を開発していきたい。誰も見たことがない黄色の花、バラのように豪華な八重咲きにも挑戦している。まもなく、発表できると思う」。より美しく、珍しい花を自分の手で生み出してたい。瀬戸さんのリンドウに対する挑戦は倦むことを知らない。
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 新企画「花ろまん」は花の生産者や趣味のガーデニング、花のある景色、アートフラワーなど花ならなんでも企画です。花に関する情報、ご意見をお待ちしています。
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