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もっと輝け!中小企業(1)

もっと輝け!中小企業(1)

上伊那で輝いている中小企業経営者の・ス元気・スの秘訣を探り、地域産業の活性化に結び付けよう竏窒ニ、03年4月から05年3月まで「上伊那・輝く!経営者キャンペーン」が展開された。産学官でつくる推進委員会(委員長=三井貞明元養命酒工場長)が中心となり、2年間のキャンペーン期間中に、約100人の「輝く経営者」を伊那毎日新聞紙面やケーブルテレビ3局を通じて紹介するとともに、シンポジウムや表彰式、ミニ見本市などを開催。元気でユニークな経営者たちの経営手法、経営理念などに学び、上伊那および信州の産業のあるべき姿、進むべき道を探ってきた。
 同キャンペーンの背景には、県内企業の経営者や県知事らによる「信州ものづくり産業戦略会議」が02年に発表した提言や、上伊那の産学官でつくる「上伊那地域の新しい産業像及び振興策調査研究委員会」の提言があった。
 両提言は「健康・福祉」「環境」「教育」にリンクした信州らしい「製造業」「観光(商業)」「農林業」のあり方や、「上伊那の地域特性」に沿った産業振興を強調。
 「上伊那・輝く!経営者キャンペーン」はこれらの提言の有効性を証明する結果にもつながり、各層各界の注目を集めた。
このキャンペーンの・ス果実・スを多くの人々に還元しようと、伊那毎日新聞社はこのほど、キャンペーンで紹介した元気な経営者約100人を一挙に掲載した書籍「信州伊那谷からの挑戦」を「いなまい叢書」第2弾として発刊した。
 この本に登場する経営者たちの「元気」の秘訣を産学官それぞれの立場から裏付けてもらい、改めて上伊那の産業モデルをさぐってみる。

産学連携で伊那谷の産業モデルを
信大農学部 唐澤豊学部長に聞く

もっと輝け!中小企業(1)

竏虫Y学官連携についてどう考えるか。取り組みはどうなっているか?
 唐澤豊氏 産学官連携には、大学の経営的側面と、実学としての農学を世の中に役立たせるという側面がある。教育・研究の切り口としても取り組まざるを得ない。人材育成における産学連携の例としてインターンシップがある。先進農家などに身を置いて知識を現場で勉強しなおす。学理と実践を一体化した教育。農学は実学だから当然産業界と密接な関係。インターンシップでは農家や企業、営林署などあらゆる場所が教育の場。企業、地域、現場の教育力を学生の人材育成に活用したい。この試みが認められ、今年度文部科学省の派遣型高度人材育成共同プランに信大プロジェクトが採択された。テーマは「長寿長野を支える機能性食品の開発人材養成」。副題が「地元企業と連携した高度専門技術と経営感覚の総合教育」。今年度から5年間の事業。
 竏昼@能性食品の研究は信大の得意な分野。全国の大学の草分けでは?
 唐澤氏 平成13年、大学院に機能性食料開発学独立専攻を大学で初めて設置した。「食料」と「緑(環境)」は信大農学部が掲げる2本柱、機能性食料分野はそのうちの一つを構成。その方面の機能強化をしている。今年4月に、産学連携施設の「食料保健機能開発研究センター」をつくった。そこを拠点に企業と大学の共同研究を推進したい。
 竏虫Y学連携を推進して欲しいという要望が企業側からもあったのか?
 唐澤氏 農学部の60周年記念事業を展開する中で県内企業に募金協力をお願いしたとき、農学部に対する期待が高いことを感じた。期待にこたえなければならない。そのこたえ方のひとつとして、地域連携の一層の推進をと。センターの内容についてはパンフをつくりホームページにも載せている。連絡あれば担当者がすぐ相談に乗ることができる。
 竏茶Zンターが出来る前から企業の申し入れはあったと思うが、どういう内容のものが多かったのか?
 唐澤氏 連携の3本柱(共同研究、受託研究、奨学寄付金)の中で受託研究の件数は工学部より多い。依頼は全国からある。食品関係が多い。平成17年度の信大全体の実績は、民間との共同研究が178件あり、そのうち農学部は22件。受託研究は285件中農学部29件(工学部26件、繊維学部29件)。教員数が他の学部よりはるかに少ないことから考えれば多い件数。
 竏柱ァ内の経営者や知事らによる「信州ものづくり産業戦略会議」が02年に、長野県のものづくり産業の目標や活動の方向を示す提言をしたが、その中のビジョンに「高齢社会への対応等、健康県長野県を目指すものづくり産業」や「信州の地で培われた特色のある技術や人材を活用して信州らしい特徴のある製品、商品を提供するものづくり産業」が入っていた。信大農学部はまさにそれを産学連携で実践している
 唐澤氏 要するに信大農学部の存在意義は何かということ。地方の大学はどうあるべきかを考えたら必然的にそういうことになる。地場の産業に目を向けた中で研究対象を掘り起こしていかねば。例えば地場の野菜の掘り起こしとか身近なものを対象としながらも学問的展開は世界に通用する、というのが我々の切り口であり方向。
 竏註H料関係以外、環境(緑)の面でも企業との共同研究は進んでいるのか
 唐澤氏 それがなかなか。企業は当然利益につながらないと研究しない。この分野は共同研究の背景となる産業自体が少ない。森林を含めた重要性が主張され、環境アセス等では先生方活躍されているが、一方で林木生産としての産業は厳しい環境にある。防災技術としては民間とかなり一緒にやれる部分があるかもしれないが、建設土木が厳しい中ではなかなか新しい技術開発などへの対応は難しいのでは。
 竏秩u信州伊那谷からの挑戦」に紹介されているような意欲のある元気な企業への売り込みはやっているのか
 唐澤氏 今の段階ではやっていない。これからの課題だとは思うが。今のスタッフでこれだけの件数をこなしているだけでかなり厳しい。新たに、というところまで手が回らないというのが実情だが、売り込みの努力としては、農学部の研究内容がひとめで分かるパンフレットを法人化してから作るなど、企業努力もしている。
 竏・0年前に比べれば産学連携もかなり進んでいる
 唐澤氏 どこの大学も独立法人化してから力を入れていることは間違いないが、それ以前にも産学連携がなかったわけではない。農学部としてはタカノからの提案で取り組んだ高嶺ルビーのような成果もある。今後に向けては、去年の12月21日、JA長野中央会と協定を結んだ。いずれにしてもセンターを作った今、外からわかりやすくなったことは確かだ。

信大と地元中小企業との連携例

◇伊那市に本社のある食品会社は、発芽大豆などを混合して成形し、保健食品としての道を探っている。信州大学大学院農学研究科で機能性食料開発に携わる教授らがこれに協力。伊那谷の新たなシステム、望ましい研究開発システムのモデルとして注目されている。(同書77ページに詳細)
 ◇伊那市の建設会社は05年、水製造・販売の新会社を立ち上げ、南アルプスの深層水を売り出している。信州大学との共同研究の成果だ。この水は肌の老化やがんを促進する物質を除去し、老化を遅らせる活性酸素を薄めるなどの機能を持つ。「波動値」も高く、自然水の中では世界トップクラスとされている。(同書176ページに詳細)
 ◇環境機器(生ごみ処理機)の製造で大手家電メーカーに競り勝った企業もある。従業員13人を束ねる社長は55歳。省力化機械製造大手の仕事請け負いから始めた会社だが、バブル崩壊で「何か別のこともやっていかないとこれからは厳しい」と判断し、環境関連機器を造り始めた。最初に手掛けたのは廃発泡スチロール油化機。失敗の連続でようやく新タイプを開発した。生ごみ処理機については、自ら開発した機械に大幅な改良を加えることで大手メーカーを押さえて国立市のリサイクルセンターに納品した実績をもつ。技術面で信州大学工学部の指導も受けるなど、こちらも産学連携モデルケースになっている。(同書92ページに詳細)

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もっと輝け!中小企業(1)

取材から3年間の歳月を費やした集大成「信州伊那谷からの挑戦」いなまい叢書(2)が発刊されました。

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