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動物写真家宮崎学さん『ツキノワグマ』出版

動物写真家宮崎学さん『ツキノワグマ』出版

 「大型トラックが轟音をたててひっきりなしに行き交う高速道路の脇で、クルミやクリの木に登ってのんびりと時間をかけて餌を食っているツキノワグマは、鈴や笛を鳴らせば逃げていくような臆病者ではない」竏・『ツキノワグマ』「おわりに」から)。
 「自然と野生動物の側から人間社会を見る」をモットーに活動する「自然界の報道写真家」宮崎学さん(57)=駒ケ根市=が10月『ツキノワグマ』(偕成社)を出版した。『いつ事故が起きてもおかしくない、クマと人間との危険な関係』『ボクが出会ったクマの野生』『なぜツキノワグマは人を襲うようになったのか』などの5章で構成。自ら撮影した生々しいカラー写真の数々と鋭い視点でツキノワグマの知られざる生態を明らかにしている。
 「唐辛子スプレーを浴びせて放すお仕置き放獣はね、憎しみを植えつけて人間を襲うきっかけをつくっているようなもの。やめた方がいいよ」と宮崎さんは話す。
 「自然豊かな環境ってことはクマにとっても生活圏だ竏窒ニ認識するべきだね。ちょっとした森にはクマが居るものだと思わないと。通学路だって安心じゃない。見ているとけっこう危なそうなところがたくさんあるよ。みんなあまりにも警戒心がなさすぎだね」
 餌が豊富な高原や川筋のキャンプ場などは特に危ない場所だという。「夜なんか、クマがすぐ近くを歩いていても人間は気がつかない。音を出さずに歩けるからね、クマは。鈴やラジオの音に近づいて来ないというのも怪しい。クマに遭遇したくなければ人間が気をつけなければならないんですよ。クマと共存するためには人間の側にもっと自覚が必要だね」竏秩B安易な自然回帰の風潮に警鐘を鳴らしている。

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