冬を前に地バチの交尾始まる
本格的な冬の到来を前に、伊那市地蜂愛好会(小木曽大吉会長)が市内に設置しているシダクロスズメバチのとりこみハウスでは、女王バチの交尾が始まった=写真。
3月末から活動を開始するシダクロスズメバチ。働きバチが羽化するのは6月ころだが、次世代のオスと女王は、10月下旬縲・1月中旬に羽化する。オスは女王にやや先行して羽化し、約1カ月弱で死んでしまうが、女王は卵を蓄えて越冬。翌年の春に再び目覚め、新しい巣を構える。
ハチ追いを楽しみながら、ハチ資源の増殖にも努めている同会は例年、人工的に越冬させた女王バチを山に放す活動を続けている。とりこみハウスは、越冬させる女王を確保するためのもので、小屋の中には今年営巣した巣箱を置き、えさを運ぶ働きバチだけが行き来きできる網を張り巡らせてある。外に出られない、女王バチとオスは小屋の中で交尾するため、卵を蓄えた女王は小屋の中で越冬体制に入る。その女王を回収し、マイナス2縲・度に保った冷蔵庫の中で保護。無事越冬させた女王を翌年の春に会員らに配り、山へと放つ。昨年は当初目標としていた1万匹を上回る約1万4千匹の越冬にも成功した。
1回の交尾で何万個という卵を蓄える女王バチ。自然会では天敵のクモに襲われるケースも多く、実際に冬を越せる割合は10分の1程度だという。
最後の力を振り絞り、女王の幼虫にえさを運ぶ働きバチが行き来する小屋の中では、新しい命を宿そうとするオスと女王バチが乱舞していた。