「霞堤」をテーマに、三峰川フォーラム
「第7回三峰川フォーラム」(三峰川みらい会議主催)が19日、伊那市役所であった。地域住民ら約60人が出席。「霞堤(かすみてい)」をテーマに、先人が水害から生活を守るために築いた霞堤の歴史をどう次世代に受け継いでいくのかを考えた。
「霞堤」は、堤防の一部を切り離し、下流側の堤防を水田などに向けて斜めに伸ばした治水工法で、氾濫水を速やかに本流へ戻し、被害を拡大しないなどの機能を持つ。三峰川には、右岸に8カ所、左岸に3カ所ある。
フォーラムは、霞堤などでの現地学習会のほか、座談会「霞堤の歴史と未来」、信州大学人文学部教授笹本正治さんの基調講演「日本人が抱いた水と堤防への意識」があった。
座談会では、パネリストに地元住民、文化財保護、教育などの関係者7人を迎えた。
「霞堤の機能などを知らない市民が多い」とし、伊那市文化財審議委員会の春日博人委員長は「霞堤」を市文化財に指定する方向で動いているとした。「霞堤の効果は災害対応だけでみてしまうが、自然と人間とのかかわりを伝えていくことが大切」など意見が出た。
また、ナイスロードでなく、霞堤街道と呼ぶ提案も。
霞堤沿いに住宅が建ち始める現状に「水があふれたとき、逆流する恐れがある。用地の規制や関係機関の連携が必要ではないか」と指摘もあった。
フォーラムに先立ち、第7回三峰川写生大会の入賞者を表彰した。