桜大学・文学講座
「里」の価値を学ぶ
伊那市高遠町公民館の第28回桜大学、伊那市公民館運営協議会の第18回文学講座は17日、高遠町総合福祉センターやますそで開いた。立教大学大学院教授の内山節さんが、『「里」の価値』をテーマに、「生と死のすべてが包まれている場『里』をどうやって作っていくか、真剣に考える時代に来ている」と語った。
『里』について、「里は生きていく場であるとともに死んでいく場。自然も同じ。人間も自然の生き物も生きて、死ぬ。すべてを許容する所」と定義。都市は生きている人がもっと元気に生きるために開発してきたが、「亡くなる人にも納得のいくのが本当の社会」とし、これからの地域づくりは「すべてが里づくりである」と話した。
フランスの農山村を例に、日本より一つの村がとても小さく、行政の仕事は住民が受持ち、NPO団体を作って行政を動かしていること、村に都市から移住する人が増え、その理由に▽自然と共に生きる暮らし▽一人ひとり役割をもって地域社会で生きていくことに価値がある人間的な生き方-を挙げていることを紹介した。
日本で里を考える場合、行政単位ではなくもっと小さい単位で、行政の中にいろいろな里があることを提案。地域住民が地域をつくる仕組みを作る、行政のあり方を抜本的に変えるなど、「住民も行政も大きな決断をする時代」と述べた。