(12)埜葩染教室(上村まち子代表、18人)、駒ケ根市中沢
前田埜衣さん、素位さんを講師に童謡シリーズに取り組む
発足から14年の歴史を刻む中沢公民館の埜葩染教室、来年から2年掛りで童謡シリーズに取り組む。先駆けて制作した第1作「朧(おぼろ)月夜」は11月の中沢文化祭で発表され、「日本画のようにきれい」と話題を呼んだ。原画は講師の前田埜衣さん(埜葩工房主宰)が描き、受講生の春上薫さんが、菜の花の黄色はエンジュの種を用い、セイヨウアカネ、ロック、桜など8種類の草木で染め上げた。
講師に手描友禅作家の前田埜衣、素位さん親子を迎える同教室は、発足当初は中沢地区の草木を採取し、色染め。染めることでそれぞれの植物が持つ色目を学んだ。次に型紙を使って型染もした。
3年前には4年がかりで伊那七福神を染めた掛軸を全員が完成させた。七福神は指導者の埜衣さんが原画を描き、色別に4-6枚の型紙を作り、つむぎの白生地に、ヤマモモやアカネ、ロックウッドなど草木から抽出した色を1色ずつを重ねた。作品完成後、7カ寺を回り、朱印を受けた。
今回の「童謡シリーズ」は全員で取り組む大作の第2弾、2年がかりで完成させる。第1作目の「朧月夜」に続き、「夕焼け、小焼け」「雨降りお月さん」「おさるのかごや」「しゃぽんだま」などに挑戦する。
埜衣さんが描いた原画をコピーし、紙に張り付け、1作品で7、8枚の型紙を起し、できるだけ、中沢、東伊那の草木、実、根などを使って、染め上げる計画。
埜衣さんは「受講生ひとり一人が頑張りやで、息の長い教室になった。草木染の技術がこの地に根付き、芸術の域に達する人が出てくれば、うれしい」と期待。素位さんは「それぞれ個性があって面白い。教えることで自分自身が勉強になる」と話している。
代表の上村さんは「それぞれの色合いを求めて、想像しながら染めている。すばらしい講師に恵まれ、幸せ」。教室発足当初からの受講生の松崎みどりさんは「全員ができ上がりまでに4年間かかった伊那七福神が1番の思い出」と話していた。