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村井知事に聞く(上)

新春インタビュー

 伊那毎日新聞社などが加盟する長野県新聞協会は、当選後初の新年を迎えた村井仁知事にあらためて県政の方針や課題などを聞いた。(2回に分けて掲載)
 竏鋳m事として初めての新年を迎えた心境と今年の抱負は。
 村井仁知事 昨年、思いもかけないことだったが、6月の末に要請を受けて知事選に立候補し、告示まで20日間という短い期間の選挙だったが、県民のご信任を得ることができた。知事に就任して初めての正月を迎え、あらためて責任の重さに身の引き締まる思い。昨年は豪雨災害などもあり、必ずしも長野県にとって明るいことばかりではなかったが、今年はどうか平和で良い年になってほしい。
 私自身は田中県政の中で、採るべきものは採る、改めるべきは改めるということで、後退しない長野県政ということをモットーに進めてきた。11月に機構改革の人事をしたが、あれでもなお、もう少しいろいろ考えなくてはならないことがある。4月の年度始めに若干、懸案だった組織を整備したい。
 それから何といっても大きな課題は、年末に向けて5カ年の中期計画をきっちり整備したいと思っている。中期計画と称してコモンズによる信州ルネッサンス計画というのができたが、あまりにも抽象的で、やはり行政はある時間軸を明確にして、どういうことをやるんだということをはっきりとお示しすることが必要。私は選挙のときに、マニフェストのようなものを作らないのはなぜだと、随分お叱りを受けたが、あのときは、私がやりたいことはたくさん具体的にあったが、それを体系的に整理して、実現の可能性まで十分に吟味して提示するほどには、実態を知らない。そういう立場の人間が無責任にいろいろ言ってはいけない。できもしないことを並べるにすぎない。私は実状を知るためのさまざまな事はお約束した。それがボイス81であり、車座集会も小泉内閣のタウンミーティングと一緒で、非常にいいことだと思ったから、こういうのはやると申したが、具体的なことは言わなかった。やはり、組織的に県庁組織のすべての力を結集して作成するのが、計画の本来の姿なのではないのか。そういう意味では年末までに5カ年計画を長野県の中期計画としてきちんと作りたい。そこではいついつまでに何をするということまで含めて、かっちりしたものをやりたい。これがある意味では今年の一番の作業だろう。
 それから2番目は、長野県庁に昨年9月1日に入り、一番まいったのは、皆さん知事が言うことに非常に注目なさる。就任したときのあいさつで、知事の顔色なんか見るなと、県民の目線を常に意識して、本当の県民益になるようなサービスを皆さんにやってほしいと申し上げたが、依然として知事の顔色を見る雰囲気は消えていない。9月以来4カ月経っても、いろんな機会に申し上げているが、そういう状態がまだ変わらない。非常に残念。各部局が部局の組織の権限というものを十分に生かして、なすべきことをきちんとやってほしい。このことは本庁の部局もそうだが、県の出先機関、地方事務所をはじめとする各機関も、それぞれの地域の実情を直に一番よく分かっているのは、市町村と連携とって一番よく分かっているのは、そういう地方事務所であり、建設事務所であり、保健所なのだから、そこで完結する話はどんどんやってほしい。そういう意味で、ぜひそれぞれの職員が、自分の職責というものを大事にして、いきいきと仕事をしていくような、そういう県組織になってほしいと、これが私の2つ目のお願い。
 それから3つ目は、将来の長野県を見据えて、いま自分たちは何をしなくてはならないかという議論を、県庁職員がまず率先して、市町村職員や民間の皆様、あるいは学会の皆様と、いろんな形で接触を深めて、広範な論議をしていただきたい。要するに自由闊達な論議をありとあらゆるレベルでやってほしいというのが私の願い。それを通じて初めて、県庁組織というものが、お高くとまってすましている県庁組織ではなくて、本当に県民の県庁組織になっていく。81の輝く自立した市町村が主役の長野県づくりのためのサービスをする、そういう県政になっていくと思っています。
 竏抽e地から道路整備などで多くの陳情・要望が寄せられている。厳しい財政状況の中で、財源をどう確保し、地域の願いに応えていくか。また、優先順位を決める際の観点は。
 村井知事 地域から要望の寄せられた個所については「必要性」「重要性」「緊急性」「効率性」など様々な観点から客観的な評価を行い、実施個所を決めていきたい。
 竏窒烽、少し具体的に
 村井知事 別の切り口で言うなら、例えば、しかかり中、工事途中で止まってしまったというようなものは、早くやった方が良いのではないか。ただ、道路で具体的にそういうのがあるかというと…。地域で反対が起きてしまってにっちもさっちも行かないというような、これはしょうがない。反対が多いから。
 竏駐c中知事が中止した事業が各地にある。そういうのはどうするか。
 村井知事 調べてみたら、田中知事が明確に中止した事業に、道路はあまりない。
 竏苧痰ヲば飯田の方には、飯田から伊賀良に行く大きな橋があるが、それもやめちゃった。
 竏酎コ井知事 それは、田中知事がやめちゃったということになっているんだが、県の土木部の主張としては、やっぱり、緊急性が認められないからやめることにしたんだという、説明になってしまっている。私は道路について、田中知事が明らかに中止したものを、全部さらってもってこいと言って出させた。そしたら出てこない。しかし、おっしゃるように、あれは確かに田中さんがやめさせたはずだという。思い当たることが私の選挙区内にもあった。それはどうなんだと言ったら、いや、用地買収がうまくいかなくて進められなかったなんて言われた。具体の話になると、そういう話になって、結果的にないという話になってしまう。ただ、おっしゃる通り、実際、地元には知事がダメと言ったからダメだということになっている。その手の話で、地元でやれるような環境が出来ていて、県が勝手に止めたようなものは、最優先にやりたい。例え話としては、こっちから道路の整備ができてきた、あっちからも道路の整備ができてきた、橋げたも出来た。橋脚が出来たところで止まったというようなやつがある。そういうのは上部工だけやれば良いわけだから、投資効率という点から言うと、過去に投資した分が皆、無駄になっているわけだから、そういう意味では、それをぜひやりたい。そういうのを優先的に片づけたい。それがやはり過去の投資を生かしていく一番の方法ではないかと。
 竏窒オかし、県の財政から見ると、6年間のものを一挙にという訳にはいかない。そうすると選択がなかなか難しくなるのではないか。
 村井知事 それは、自ずから順序出てくるのではないか。
 竏註謔ルど、あらゆる機会をとらえて、将来のことを議論してほしいという話だったが、田中県政になって、あらゆる団体の懇親会に県の職員は出てはいけないということだった。そこら辺は…
 村井知事 あれは絶対おかしい。県の職員と市町村の職員が、実務レベルでいろいろな相談をしないというのは、非常にまずい。会費制でやるのは官官接待でも何でもない。会費制であったら大いにやってほしい。私も市町村長方と会費でやらせていただく。
 (つづく)

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