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2611/(火)

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アマチュア・マジシャン
箕輪町松島
有賀哲哉さん

「人を楽しませることが最大の喜び」

アマチュア・マジシャン<br>箕輪町松島<br>有賀哲哉さん

 観客の前に登場したアマチュア・マジシャン「アリック」。鮮やかな手つきでカードを扱い、見る人を巻き込んで次々と繰り広げる手品に、「どうなってるの?」「すごいね」と拍手が起きた。
 「どこで何をやったか忘れるくらい緊張している。でも、楽しんでもらうために、喜んでもらえることを考える。場をこなさないとうまくなれない。呼ばれたら飛んで行きますよ」。アリックの名を刺しゅうしたジャケット姿で、驚きと感動を届ける。
 大学に進学し、友達がやっていた手品に魅せられてサークルに入った。「勉強はしなかった。授業中もずっとトランプをやっていた」というほど手品にのめり込み、トランプを扇子のように美しく開く扱いも20歳のときには習得していた。
 学生時代、アマチュア・マジシャンとして名高い故高木重朗氏に直接指導を受ける機会もあった。初めて手品をやった小学3年の学芸会。ダンボール箱の中で人が入れ替わる手品は、高木氏の本を見て挑戦した。「俺が読んだ本の人がここにいるんだって感激しました。すごかったですね」と振り返る。
 卒業後しばらくは独学で手品を勉強していたが、2000年に箕輪町に戻るまでの10年間はほとんど手品をすることはなかった。地元で旧友に会う機会が増えると同時に手品を披露する場ができ、再び練習を始めた。
 手品には4つの楽しみがあるという。(1)見る楽しみ(2)種を知る楽しみ(3)練習してできるようになる楽しみ(4)皆に見せて喜んでもらえる楽しみ-。4つの段階をしっかり踏むと、自分にとってもお客さんにとっても素晴らしい、最高の手品になる。
 「まずは見て感動。何でもそうだけど、自分が感動しないとだめ」。次にどうやっているのかを推測する。長年やっているとある程度は分かるといい、後は自分なりにアレンジする。「練習あるのみ」と、暇を見つけては練習に励む。
 手で練習する以上にもっと練習することがある。それは「頭の中でストーリーを描く」こと。何度も何度もストーリーを組み替えて練習する。例えば手品を披露する場が自分の想定と違っていても、頭の中で経験しているとすぐに切り替えができるなど、スムーズに対応できる。これは手品のみならず、人生にもいえることだという。
 得意とするのはカードマジック。「トランプには種がない。自分がやりながら種を仕掛けていく。これはすごいですね」。カードマジックという「52枚が繰り出す芸術」に魅力を感じている。
 「本当にすごい手品は観客が『うっ』と一瞬止まる。拍手を忘れる。我に返るまでの時間が『何なの今の?』となる。それをどこまで追求できるかなので、飽きることはないですね」。何かをやっているという動きを極力排除し、いかにシンプルに美しくやるかが課題となる。
 人を楽しませるという最大の喜びのためにやっている手品。目指すは、「疑う余地なし」の究極の手品だ。(村上裕子)

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