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2311/(土)

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春を告げる素朴な花、プリムラ

「最初の」という意味を持つ

春を告げる素朴な花、プリムラ

 ラテン語で「最初の」という意味を持つプリムラ、ほかの花に先駆けて春一番に咲く「報春花」、プリムラ属は北半球を中心に500種類以上が自生し、様々な園芸種が作出されている。今回は最もポピュラーなイギリス生まれのポリアンサ、中国原産のマラコイデス、オプコニカについて、伊那市東春近の導楽園の酒井富貴社長と、伊那種苗園の酒井信社長にお聞きした(大口国江)。
 ##(中見出し)
ジュリアン、ポリアンサを37万鉢栽培する導楽園、育種にも意欲的
 伊那市東春近の天竜河畔に白く輝く7連棟のガラス温室、11棟のビニールハウスが続く。ジュリアン30万鉢をはじめ、バラ咲き、蛇の目咲きなどポリアン系37万鉢を栽培する。早生系のジュリアン、ポリアンサの出荷がほぼ終り、新春から中輪系バラ咲きや、蛇の目咲きの新品種ジュエリーオブクイーンの出荷が始まった。
 同園のプリムラ栽培歴は長い、先代、酒井幸保さん(現社長の夫)の時から、すでに30年余。自家採りの種を5月下旬縲・月にプラグにまく。種は好光性のため、覆土しない。1週間位で発芽する。7月中旬、本葉2、3枚で6センチポットに移植。11月中旬から小輪で耐寒性に優れたジュリアンがポッとひとつ、続いて、ポッポッと咲き、やがて何万鉢もワッと咲く。花が4、5輪咲いた鉢から、名古屋や関東方面に出荷する。12月になると、大輪のポリアンサも咲き出す。
 出荷作業は枯れ葉や花を取り、形を整え、ジュリアンは1ケースに24個、パッと目立つ黄色を中心に、ピンク、赤、紫と色をそろえ、彩りよく並べる。中・大輪系は1ケース20鉢を並べる。
 出荷作業が1段落すると、種採り作業に移る。プリムラは自家交配しない。雌しべが高いところにあり、雄しべが低いところにある。遠すぎて実を結ばない可哀想な花。そこで人工受粉し、様々な花を作出する。「気に入った花やきれいな花を選び、他の株の花粉をつけて、交配し育種している」。
 黄色に赤の縁取りのある花を先代の幸保さんの「幸」と現社長の富貴さんの「貴」を組み合わせて名付けた「幸貴」。ピンクからオレンジと色の変化が楽しめる「暁」の2種類を育種し、品種登録出願中である。
 3代目を継ぐ大さんも育種に熱心で、突然変異の中から花弁が細く、日本桜草の雰囲気を持つ花や、筒咲き、絞り咲きなど、特徴ある花を選び、だれも見たことにない新しい花づくりをしている。大さんが作出した新品種もまもなくデビューする。
##(中見だし)
苗生産とマラコイデス、オプコニカを栽培する伊那種苗園
 広域農道沿いに広がる東春近木裏原に、一風変わった角型ハウスの一群がある。標高が高く、夏涼しい同園は、プリムラの苗栽培の適地で、暖地からの委託で50万本生産する。鉢花で出荷するのはジュリアン2万鉢、マラコイデス3万鉢、オプコニカ2千鉢と少ない。
 マラコイディス
 小さな花を密集させる繊細な姿が愛される。自家採りの種を6月に蒔き、12月から咲き始め、1月から出荷が始まった。ピンクの濃淡を中心に、白、赤、紫と多彩。縁取りのある「蛇の目」も各色そろう。
 ボリウムを普通のマラコイデスの5分の1以下と、コンパクトにした「ポシェット」もある。従来はピンクの濃淡の2種類しか無かったが、同園で、マラコイデスの中から、かちっとまとまったものを選別し、赤、紫、蛇の目など5種類を作出した。「場所を取らず、どこにも置ける小ささ、かわいらしさで人気がある。マラコイデスは過湿にすると、灰色カビ病が発生する。鉢土が乾いたら、たっぷり水をやるといい。5月頃まで楽しめる」。
 オプコニカ
 葉裏の毛に「プリミン」という毒素を分泌する品種もあり、かぶれる人もいるから注意が必要。白から濃紫、または真紅にと、鮮やかな花色の変化、6カ月も咲き続け寿命の長さから、根強いファンもいる。「直接触らず、手袋をはめて作業をするといい」とか。
 このほか、くすんだ葉色、シックで可れんな花「シネンシス」もプリムラの仲間、これから咲き始める。

プリムラ

春を告げる素朴な花、プリムラ

導楽園

プリムラ

春を告げる素朴な花、プリムラ

伊那種苗

プリムラ

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伊那種苗

プリムラ

春を告げる素朴な花、プリムラ

伊那種苗

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