青年海外協力隊
ニカラグアから帰国
箕輪町
関理恵子さん
自分の経験を還元し子ども達と学びたい
04年12月、青年海外協力隊の04年度第2次派遣隊員として中米のニカラグアに赴任。2年間の活動を終え今年1月、帰国した。
青年海外協力隊は、中学で隊員OBの話を聞いたのが最初の出会い。しばらく忘れていたが、大学生になって隊員を目指していたことを思い出した。
小学4年から教員になる夢を持ち続け、上越教育大学に進学した。「魅力のある先生は人として魅力がある。幅を広げたい」と、米国でのボランティア活動に参加。卒業後、「広い価値観を持ちたい」と埼玉YMCAで4年半勤務した後、青年海外協力隊駒ヶ根訓練所に入った。
ニカラグアには青少年活動で赴任。首都・マナグア市にある外務省管轄のNGO職業訓練校で、教育担当者としてクラスを持った。生徒は8歳から18歳。貧困、家庭内暴力、親が、あるいは本人がドラッグユーザーなど深刻な問題を抱えている。子どもが働くなとはいえない現状のため手に職をつけることが目的で、訓練を通して育成を図る。
活動は最初から順調だったわけではない。赴任するとディレクターが代わっていたために「呼んでいない」と言われ、訓練したスペイン語も、生活上は問題ないが、仕事となるとついていけない。
「赴任して3カ月から6カ月は毎日泣くくらい苦しかった。思いが伝わらない悔しさ。子どもたちに完全にバカにされた」。そんな中でも理解してくれる子どもたちを頼りに、信頼関係を築いていった。8カ月を過ぎてからは月日の流れが早く、振り返れば2年はあっという間だった。
教えたのはブレスレットやビーズアクセサリー作り。図面を見て作れるように指導し、将来的に自分たちで出来るように、2年目は子どもが子どもに教える形にまでなった。
一貫して伝えてきたことは「責任感」。帰国前、子どもたちが「最初はうるさかったけど、今は言いたいことがわかる。責任を持つことができた」「自分を好きになって、相手を思いやることができた」と言ってくれた。「これが一番の収穫でした」。
ニカラグアは非常に治安が悪い。幸い強盗などの被害に遭うことは無かったが、気の休まるときはない。それでも、「ニカラグアは私に合った」という。「イエスかノーで言いたいことを言う。関係が悪くなっても互いに言い合って良くなる。毎日笑顔があって、本気で怒って。ありのままの一人の人間として受け止めてくれる国。居心地が良かった」。
帰国後、青年海外協力隊の短期派遣で、再びニカラグア行きを考えている。
「自分の中で、貧困な状況に置かれている子どもたちの整理がつかない。やるせない思い。私一人ではどうにもならないけど、子どもが一瞬でも多く笑顔でいられることをしたい。たぶん答えは出ない。もがきですね」
あと1年くらいもがいて、その先は長野県の小学校教諭を目指す。「人に伝えることで理解を深めることが大切。自分だけの国際理解より、皆での国際理解が今は必要。今度は、大好きな日本で自分が影響受けたことを還元し、日本の子どもたちと、もがいて生きていきたい」。