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県農村生活マイスターを取得
伊那市西春近
唐木みはるさん(51)

県農村生活マイスターを取得<br>伊那市西春近<br>唐木みはるさん(51)

 1月は3日からネギむきを始める。そのうち花の出荷が始まり、2月はアスパラのビニールがけ、収穫をしながら水稲苗を育苗する。畑と田植えの時期が始まり、夏の草取りに追われているといつの間にか稲刈りの時期。それと同時にネギの出荷も始まり、年末まで続く竏秩B
 「毎日仕事が『やってくれ』って言ってくる。でも、毎日お日様と向き合っているから、風邪も引かなくなりました」
 ◇ ◇
 今年1月、県が取り組む「農村生活マイスター」に認定された。農村生活マイスターは、農家・農村社会の発展を目指し、地域農業の振興やむらづくりに積極的に取り組む女性農業者に贈られる称号。県内のほかの地域から集まってきた女性農業者9人と臨んだ1年間の研修では、互いの悩みを打ち明け合える仲間もできた。
 「最初は内容もよく知らなかったのだけど、お父さんが『いいじゃんけ、骨休めにでも行ってこいや』って言ってくれて。地粉を使ってパン作りをしている人や野草レストランを立ち上げようとしている人なんかがいて、一生懸命農業と向き合う人たちとの交流が何より楽しかったです」
 ◇ ◇
 兼業農家だったが、子どもが生まれ、「この地に根をはって生きていこう」と夫婦二人で考えた結果、専業になることを決意した。それから20年、毎年が試行錯誤の連続だった。アスパラから入り、「なんとか農業だけで生活していけるように」と工夫を重ね、現在は水稲を中心にアスパラ、シロネギなどを生産するようになった。 「大変でも自分たちで決めたことだから弱音も吐けないんです。もともと土を触ることは好きだったし、何より太陽の下で働くのは楽しい」と笑う。
 作物は正直で手をかければそれに応えてくれ、手をぬけばその分のしっぺ返しがある。
毎年気候も土の状態も異なるため、その年ごとに新たな気持ちで臨まなければならない。そうやって迎える喜びの収穫を迎える。
 最近はようやくネギが何をしてほしいかようやく分かるようになってきた。
 数年前からは、自分たちが食べても安全なものを竏窒ニ、生ゴミから作る環境に優しい肥料を使っている。コストがかかる分、従来より価格は高くなったが、直売所のリピーターも増えた。
 「農業をやっていると自然環境のことに目が向くようになって。今の肥料を使うと、野菜の甘味や柔らかさも増す気がします。ちょっと高いかなって思っても直売所で『取り置いてほしい』って言ってくれるお客さんもいる。そういう風に理解してもらえることは嬉しいしありがたい。今はどんどん高齢化が進み、農地を預けたいという人が増えている。基本は家族経営だと思うけど、その後に続く人がいないのはさびしい。何とかして青々とした農地を引き継いでいきたい」

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