おやきで家起し、木下利恵さん(50)
余った野菜、漬け物を利用し
「おいしい物を食べたい一念で、おやきづくりをしている。『おやきで地域起し』なんて、大それたことは考えていない。まずは家起し。余って捨ててしまうような野菜や漬け物、なんでも頂いて、利用している」。
長谷村生まれ。結婚後「環境の良い場所で子育てをしたい」と夫と子ども3人でUターンした。シイタケ栽培もしたが、サルの食害に遭い、「なにか一生続けられ、自立できる仕事を」とおやきづくりを思い立った。
おやきづくりはまず、小麦粉をこねて、たたいて、伸ばして皮を作る。「これでもかというほど、しっかりこねる。ストレス解消にもなる」とか。中身はあんこと野沢菜、カボチャの3種類。長谷村産の小豆を使ったあんこは「素材の味を生かして、甘さは控えめ」。野沢菜入りは、みそを入れた母の味の野沢菜を塩出しし、ごまと彩りにニンジンを入れて味を調えた。カボチャは自家取りを使った。
2時間寝かせた皮に中身を包んで、年代物のほうろくに並べて、じっくり、こおばしく焼いた。
先日、伊那市西春近の友人宅で、試食会。市内外から集まった友だちは「昔食べたおばあちゃんの味がする」「皮の味はいい」など概ね好評。中には「小豆はもう少し甘い方がいい」「カボチャはみそ味で鉄火みそ風の方が、おやきに合う」などの指摘も。
「切り干し大根やリンゴ、ナスおやきなどいろいろ試したい。食べきれないで、捨ててしまう野菜や果物、漬け物などを使うことで、ごみも減らしたい」と抱負を。
今後、試行錯誤を重ね、「昔懐かしいおばあちゃんの味」をコンセプトにしたおやきを完成させ、将来的には注文生産、直販する考え。5人暮らし。(大口国江)