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かな書道「竹葉会」主宰 向山修さん(73)伊那市山寺

かな書道「竹葉会」主宰 向山修さん(73)伊那市山寺

 子どものころから書道に親しみ、毎日、筆を握る。小中学校の教員を務め、94年3月に退職。その後、上伊那を中心に、20縲・0代の書道愛好者10人ほどでつくる、かな書道「竹葉会」を立ち上げた。
 「日本の言葉を書く」かな書道。文字の配置、文字の大小、墨の濃淡、筆勢など「全部が合わさって、一つの世界を作り出している。安定した書ではなく、躍動感が出る調和した書。そこに、かなのおもしろさがある」という。1枚の紙に、表現は無限に広がる。
 書を見た人からは「まるで絵のようだね」と言われる。
 漂泊の俳人・井上井月(1822縲・7年)の句にひかれ、句書展「井月シリーズ」を地元で開いた。初回は「冬籠(ごもり)」を取り上げ、13点を展示。
 句を読み、何を言おうとしているのかを理解し、書で作品化した。句によって表現方法を変え「井月の心を書くのではなく、絵的表現で描いた」。
 書になじみがなくても読めるよう作品に自分なりの解釈を付けた。
 井月は江戸で和学や漢学などを学び、俳人・松尾芭蕉を慕って諸国を行脚。58年から30年間ほど伊那谷に住み、約1700句を残し、美篶で死去した。
 「『寄食寄泊』の放浪生活を送った井月の句は、生き方そのもの。趣に富んでいて、心情を表している」と魅力を語る。
 3月下旬、県伊那文化会館で開く上伊那書道展(上伊那書道協会主催)に「梅」を詠んだ井月の句書を出品する予定。「座の興に投盃や梅香る」「表から裏から梅の匂ひかな」などを選び、制作を進めている。
 今後も季節に合わせて「井月シリーズ」を続けたいと考えている。
 「書の観点から、井月を自分なりに研究してみたい」と話す。
 かな書道の全国組織「あきつ会」などに所属する。雅号・竹脩。
 (湯沢康江)

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