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65/(月)

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南箕輪村
藤沢弥栄子さん

物作りはおもしろい

南箕輪村<br>藤沢弥栄子さん

 近ごろ人気のある布草履。南箕輪村公民館いろいろ物作り体験会で、作り方を教えた。
 「いくらでも物があるときに、こんなものと思うかもしれないけど、昔からの手作りの魅力や楽しさ、物を再生できる喜び、温かみがある」
 初めて布草履を作ったのは2年ほど前。もともと機織りをしていて、家には裂織りに使う布がたくさんあった。祖父母が炉辺でわらじを作っていたのを思い出し、「布で作ったらおもしろいかな」と考えたのが始まりだった。雑誌で作り方を見つけ、作っている人に教わるなどして覚え、その後、自分なりにアレンジして「自分流」の編み方を完成させた。
 まずは土台作り。足の指にロープが4本になるようにかけ、ロープの間を布を上下交互に通して編んでいく。土台の途中に、細いロープを布で包んだ鼻緒を付け、残りの土台を編み上げる。前つぼを付け、鼻緒を固定して仕上がる。
 「初めは本当に難しかった。格好を取るまでがね。でも、段々になれましたよ」。これまでに30足余を作り、欲しいという人にあげた。歩いて音がしない、洗濯機で洗えるなどの利点もあり、自分でも愛用している。
 「日本に一つしかない布草履ができる。夜ちょっとやりたいと思っても、すぐにできる。自分の好みで、自己流でいいですよ。つま先や鼻緒付けが難しいと皆さん言うけれど、数をやっていけばいいんじゃないかね」
 最初は依頼を断った布草履作りの講師だったが、参加者が喜んで帰っていく姿を見てうれしかったという。
 「昔は本当に布なんてなくて、尊くてね。竹の皮やキビ殻で草履を作った。たまに間に布が入っているくらいでしたよ」
 使い捨ての時代になった今でも、布が貴重だった時代を知っているからこそ、シーツや布団カバーなど古くなった布も大事に再利用する。
 布草履作りのきかっけとなった裂織りも、共通することは手作りの楽しさと布の再利用だ。子育てを終えたころ、母親が機織りをしていたのを見ていて自分もやりたいと思い、始めた。もう30年近くになる。
 母親に教わり、裂織りの教室に通ったり、仲間に聞くなどして覚えた。農閑期に気ままに機を織る。「傷になっても、それがまた手作りのよさ」。しま模様、市松模様など自由に色や柄を考えて織り上げた反物で、こたつ掛けや座布団を作っている。
 「幾度したって上手にならない。でも、同じものは出来ないから物作りは楽しい」
 次なる夢は色紙掛け作り。「自分の俳句の色紙を手織りの色紙掛けに飾りたい」という。(村上裕子)

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