県議選 伊那市区
合併に伴い選挙区が拡大した伊那市区(定数2)は、現在までに現職2人が出馬を表明。一部では新人擁立の動きもささやかれるが、今のところ新たな候補者は現れない。
4年前の激戦と一変し、今回は無投票の見方も強まる。現職2氏とも、逆風だった前回のような緊張感は感じられないが、「選挙は水物。最後まで選挙戦があるつもりで臨みたい」として臨戦体制を整えている。
向山公人氏(64)=政信会、西町=は県会定例会開会前に事務所開きをした。会期中も地元に戻る土日を使って今回選から選挙区に加わる高遠、長谷地区であいさつ回りをしている。
木下茂人氏(71)=緑のフォーラム、美篶=は、今月4日の拡大役員会で選対組織を立ち上げた。向山氏同様、高遠、長谷地区を皮切りに活動を展開。同地区でのあいさつ回りはすでに完了しており、今後は電話戦術などを駆使して支持を固める。
村井県政については両氏ともに一定の評価を示しているが、今後の政策については是々非々の姿勢で臨みたいとしている。
両陣営とも、早い段階から支部組織を発足させるなどして高遠、長谷地区での支持者集めを進めているが、もともと保守基盤が強い地域ということもあり、保守系の両氏はともに一定の手ごたえを感じている。
村井県政スタートから半年。今回は、前回選で田中前知事支持を打ち出した新人候補を後押しした追い風はない。伊那市区の場合、保守基盤の強い高遠、長谷地区が選挙区に加わったことも重なり、現職に対抗する候補が一層でにくい環境となっていることも事実だ。
前回は新人候補を擁立した共産党は今回、激戦区となる上伊那郡区や駒ヶ根市区の現職死守に力を注ぐため、伊那市区では候補者を擁立しない。民主党も伊那市区は想定していない。また、前回「田中氏支持」を打ち出して、田中氏批判の現職2氏に迫った自営業・若林敏明氏(51)=富県新山=は、周囲からのアプローチを受けながらも出馬は「白紙」として態度を明確にはしていない。
昨年8月の知事選で伊那市区は、村井氏が1万9800票、田中氏が1万8200票を集めた。両者の差はわずか1500票。田中前県政の方針を支持する層は間違いなくある。
前回選では現職批判の新人2人が票を分け合った結果、約1万票ずつ獲得した現職2氏が当選したが、新人2人の前回票の合計は、、現職一人ひとりの獲得票数を上回った。
知事選の結果から見ると、現職の対立候補を一本化して擁立すれば2氏の批判票がそれなりに集まると見る向きもある。
しかし、前回選も昨年の知事選も無党派層の田中氏支持の盛り上がりがあった。無党派田中層が熱も覚めた今回は、投票率が落ちることは十分予想され、そうなると対立候補には不利な情勢となる。
また、前回選で対立候補の擁立に動いた市民有志も、ここへきて疲れを見せており、具体的なアクションを起こす気運の高まりはない。