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新刊紹介 「塩むすび」

語り継ぐ戦争絵本シリーズ(3) 勤労動員

新刊紹介 「塩むすび」

 語り継ぐ戦争絵本シリーズ(3)勤労動員「塩むすび」がこのほど、郷土出版社(松本市)から発刊された。
 文と絵は、いずれも県内の小中学校に長く勤務して退職した、高田充也さん(文)=松本市出身、日本児童文学者協会員=、柳沢廣さん(絵)=松本市出身、碌山美術館顧問=。
 高田さんが旧制松本中学校(現松本深志高校)5年生(現在の高校2年生)のときに体験したつらく、苦しい学徒動員の様子がつづられている。
 高田少年は1944(昭和19)年8月から8カ月、名古屋の軍需工場で飛行機の組立作業に従事。B29の激しい爆撃に耐えながら朝早くから夜遅くまで働いた。飢えとの闘いもすさまじく、雑炊さえも口に入れることができなかったとき「かあさんがつくった塩むすびをひとつ食べたいな」とつぶやく。
 戦時中のけなげな少年たちの姿、つらい心を柳沢さんの存在感あふれる絵が見事に表現し、戦争の悲惨さを訴える。
 子供はもちろん、大人も引き込まれる作品。重いテーマにもかかわらず、次のページに期待を抱かせる読みやすさがある。
 親子で戦争を考えるには最適な一冊。
 定価1680円(本体1600円)。

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