県議選 伊那市区 候補者横顔
木下茂人氏(71)
小学6年生のとき父が他界し、女きょうだいが多い中、家業の農業を支えてきた苦労人だ。しかし、その時に培った底力が、今の礎となっている。「自分は苦労したと思ってたけど、母は『そうでもない』って言うんだよ」と笑う。
伊那の郷土を良くしたい竏秩Bそんな思いから政治家を志すこととなった。今もその思いは変わらない。しかし今回は、村井県政の誕生にかかわった者の一人としてこれからの県政を導いていく責任があるとも感じている。
今回はまず、新たに伊那市区に加わった高遠、長谷地区でのあいさつ回りから始めたが、その中で中山間地の過疎化や農業振興問題が極めて深刻であることを実感した。
「県内には北と南、山村部と都市部の格差がある。そのこと一つ見ても農業振興を考えていかなければならない」と均衡の取れた地域づくりを訴える。また、産業振興により自力をつけることも重要であると考えており、中小企業に対する技術、人材育成支援などを具体策に挙げる。
趣味はそば打ち。みんなにごちそうできれば竏窒ニ始め、伊那市そば打ち名人の会の名人位を取得した。「理想は高く、敷居は低く」が信念。妻と二人暮し。美篶上大島。
外出するときは、できるだけメモを取ることを心がけている。
「本来の政治は生活の延長上にあるべき。地元の人と距離ができてしまうようではだめ。飲み会の席なんかで思わぬ声が飛び込んでくることもあってね」
信条とする「普段着のままの政治姿勢」はそんな思いに端を発している。
県議を務めた2期8年は、地元である伊那市の声をいかに反映させていくかを考えながら、県政の一端を担ってきた。県の南北格差問題では、特別委員会を設けて公共交通網の整備計画などで格差是正を提案。「今回は3期目となるがこれまで取り組んできたことを一つでも二つでも形にしたい」と語る。また、合併後の伊那市を良い方向に導くためのパイプ役も、重要な役割の一つに位置付ける。
社長を務める伊那ケーブルテレビジョンを興したのは21年前。何もない手探り状態からスタートし、あちこちの壁にぶつかりながら今を築き上げた。何事も実行しなければ成就しないことを意味する「道近しといえども行かざれば至らず」は、そうした経験の中で体得した教訓であり、好きな言葉の一つ。
趣味はスポーツとステンドグラス製作。妻と二人暮し。西町区沢。
環境、食の安全、ごみ問題など、あらゆるテーマについて市民の立場から考え、活動する取り組みを続け、多くの仲間と大切なきずなを築いてきた。
「そんな役割が家族との生活以外でも大切なものになっていきました」と語る。
旧伊那市の環境審議会委員を務めた時には、レジ袋の有料化などを提案。しかし、自分たちの提案が十分に生かされた実感はもてなかった。「意見を聞く」という形式だけで、自分たちは行政側が用意したものをあーだこーだ言い合っているだけでないか竏秩Bその思いと裏腹に、自分たち自身が行政に関心を持ち、施策を決めていくことの重要さを知る。
だからこそ今回の選挙でも「投票を通して市民一人ひとりが意思表示をしてほしい」と強く訴える。
長野県廃棄物条例の実現、自然を守る循環型産業の育成などを掲げるほか、情報公開を行いながら市民とともに考える社会の実現を目指す。
座右の銘は「転んでも笑って起きる」。「これまでも挫折してきたけど、何度も起き上がってきたから」と笑う。
夫、長男、三男と4人で暮らす。長女、二男は進学して県外で暮らす。福島。