県議選 伊那市区 中盤情勢
選挙戦も中盤に入り、伊那市区(定数2)では現職の木下茂人氏(71)=無所属、美篶、向山公人氏(64)=政信会、西町、新人の井口純代氏(51)=あおぞら、福島の3候補が、市内各地で遊説や個人演説などを精力的に展開している。
木下氏は市内各地区を遊説しながら1日2、3カ所で個人演説会を展開。告示前から今回から伊那市区に加わる高遠、長谷地区での基盤固めに力を入れてきたが、中盤に入っても引き続き、両地区で精力的に活動を展開している。集落ごとに開く個人演説会では、100人近く集まる所もあり、事務局の一人は「相当浸透してきている」と感触を語る。両地区では農業関係者層に支持の厚い木下氏の方が向山氏より優性であるとする見方も強い。5日には支持層の厚い女性部による総決起集会を行う。
向山陣営は31日に女性部による総決起大会を開き、集まった約100人が気勢を上げた。その後も、昼は遊説、夜は3、4カ所のハイペースで個人演説会を展開。日曜日には街頭演説を行うなど、あらゆる手段で支持を訴えている。
木下氏同様、告示前は高遠、長谷地区でのあいさつ回りを皮切りに選挙戦の準備を進めてきた向山氏。告示後は市内全域をくまなく回り、支持を訴えている。旧伊那市区の時から、木下氏が農業、向山氏が商工業を基盤として票を集めてきたが、高遠、長谷地区でも同様の構図で票が集まっている。
両陣営とも、前回選の新人候補2人の獲得票の合計が、現職一人ひとりの獲得票を上回っていたことには警戒しているが、田中前知事の追い風もなく、用意周到に準備してきた前回の新人候補との戦いとは異なると考えている。
井口氏は遊説を中心に選挙活動を展開。要望のあった地域には個人演説会を催すなど、臨機応変に対応している。ほかの2人に比べ、人的にも時間的にも厳しい情勢は変らないが「前回の新人候補2人が獲得した現職の批判票を掘り起こせれば必ずしも劣勢ではない」としている。
実際に、選挙を切望していた一部の有権者から応援の声が届くこともあるというが、依然として選挙に対する有権者の意識が十分に高まっていない実感があり、現職批判への思いが必ずしも投票行動に表れるかなどといった懸念もある。
有権者に対しては「現在の県政に本当に満足しているか」を問いかけ、投票行動でそれぞれの意志を示してほしいと訴える。