県議選 郡区 中盤情勢
激戦区の上伊那郡区(定数2)の4候補は、それぞれ地元を固めながら他区域へ攻め込んでいる。前回、辰野町から出馬し、落選した赤羽公彦氏が獲得した8400票の行方が当落のかぎを握る。
合併により、旧高遠町・旧長谷村が選挙区でなくなり、定数が削減されたため、各陣営とも当選ラインは前回の1万400票余を大きく上回る1万3千票前後と読む。
箕輪町の現職清水洋氏(53)は前回の無所属から自民党として立った。昨年暮れから箕輪町、南箕輪村を重点に、1万戸余を精力的に歩いた。町内企業も手分けで130社余を回り、地元を固めつつある。前回、4候補の中で北部は高得票だったが、南部では最も少なかった。北部に力を入れ、前回(9654票)以上の獲得票を目指して赤羽票の取り込みに動く。
知事との関係は「なれあいでなく、是々非々で臨む」としている。
同じく箕輪町の現職小林伸陽氏(63)=共産党=は「変わり始めた県政の改革を後戻りさせないことが、今選挙の最大の課題」と訴え、他候補と立場の違いを明確にする。昨年8月の県知事選で、郡区は村井仁氏より田中康夫氏が約1770票上回り「反村井票」を広域的に集める要素はあるものの、それが有利とは言い切れない。党派を超え、全体の支持拡大を図り、議席確保をねらう。
辰野町の無所属前職垣内基良氏(57)は前回、1票差で落選した悔しさをばねに、辰野一本化に力を注ぐ。赤羽票の奪い合いが激しく、町内を中心に、箕輪町・南箕輪村、南部へと入り込む。1日20カ所ほどの街頭演説をこなし「垣内」を印象づける。町内の立候補者が前回の2人から1人になったことで、投票率の低下が懸念される。
県知事との関係については「知事を選んだ県民の意思を尊重するべき。知事を支援しつつ、是々非々であるのが、県議の正しい選択」との姿勢を示す。
清水、垣内の2氏は、公明党推薦を受ける。公明党町議によると、清水氏は箕輪町から南部、垣内氏は辰野町と地域で党票をほぼ分けているが、情勢により変動する可能性がある。
宮田村の無所属現職小原勇氏(58)は南部唯一の立候補者。現職の強みを生かし、前回南部で獲得した7730票を上回る1万票を目標に定める。何としても南部から県議を送り出すという気運の高まりに期待し「良識ある有権者」の選択に頼る。
知事へのスタンスは「県民の思いと照らし合わせ、言うべきことは言う」としている。
1票差で当落を分けた前回選。接戦が予想されるだけに、各立候補者は街頭演説や個人演説会などをこなし、政策などを力強く訴える。各陣営の選対事務所にも「あと○票が足りない」と切迫した雰囲気が漂う。