白鳥に魅せられたアマチュア写真家
伊那市西春近
赤羽信一さん(61)
今でも、シャッターを切る時は最初のころと変わらず良い緊張感が走るし、写真には写らないけど撮影している時に聞こえるハクチョウの羽音はたまらない竏秩B
一昨年から冬の間に安曇野へ降り立つハクチョウの姿を撮り続けている。2シーズンで五宝殿、狐島、犀川ダム湖などの周辺を20回以上訪れ、3千枚以上を撮影した。
「時間帯によってもハクチョウの見え方は違う。8時ころだと朝日に染まって少し赤みがかっているけど、10時位になると真っ青な空とは対象にハクチョウの羽は真っ白になる。青い空とのコトラストが、ハクチョウを一層美しくひきたててね」と笑顔を見せる。
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退職後の趣味に竏窒ニ写真を始めたのは3年前。最初の1年は独学でやっていたが、2年目の秋からは写真講座を受講。基礎技術の習得に努めながら風景写真などを撮影してきた。
ある時、撮影先で知り合った安曇野の写真家が地元を案内してくれるというので、初めて安曇野を訪れた。その日は快晴。冷たい空気の中、青く澄みわたった空を背景に常念岳が悠々とそびえていた。ちょうどその時、数羽のハクチョウが常念岳の上を舞った。
「すかさずカメラを構えたんだけど、その時はうまくシャッターを切ることができなかった。『これは絶対ものにしなければならない』って思った」
ハクチョウに魅せられた瞬間だった。 ◇ ◇
現地へ足を運ぶ回数が増えるにつれて顔見知りの仲間も増え、さまざまな撮影技法を教えてもらった。
目下の課題は、ハクチョウが飛び立つ瞬間の躍動感やスピード感を表現するため、できるだけ遅いシャッタースピードで撮影すること。
「今シーズンは1500枚ほど撮影したが、『そこそこ』と思えたのは3枚ほど。今年は13分の1秒まで挑戦したが、うまくいかなくてね」
一方、ふとした瞬間に偶然の面白い一枚の撮影に成功することもある。飛び立とうとするハクチョウに別のハクチョウがおじきをしている作品「頭が高い控えおろー」は、今年初めての応募した公募展で見事入選した。
「自分の理想とする部分と比べたらまだまだ。最初は知らないことばかりだったけど、いろんな人に親切に教えてもらって助かったし、つながりもできて良かった。とにかく8分の1まで到達したい。ユーモアのあるハクチョウの姿も撮影していけたら」
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現在伊那市の「ペアーレ伊那」で赤羽さんが2シーズンで撮り貯めた作品の展示をしている。21日まで。