西箕輪地区から望む風景を撮り続ける
伊那市西箕輪中条
白鳥由利さん(70)
写真を撮っている時は20歳くらいに戻って夢中になっちゃうから、70歳っていう本当の年も忘れるね竏秩B
趣味としてカメラを始めたのは5年ほど前。地元にある経ヶ岳植物園の植物をもっと多くの人に見てもらいたいと、1年ほどかけて四季折々の草花を撮影。そこから写真の魅力に引き込まれ、もともと好きだった風景写真を多く撮影するようになった。
「花の写真の場合、花だけしか写さないことも多いけど、その花がどんな風に咲いているかも分かるようにしたかったから、経ヶ岳植物園の植物を撮った時には花だけじゃなくて葉っぱも写すようにした。けど難しくてね。1つの花を撮るのに3、4回足を運んで40枚ほど撮影することもあった」と語る。
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本業は大工。絵を描くことは好きだったが、写真に関してはインスタントカメラで現場写真や記念写真などを撮る程度だった。撮影技法もまったく知らず、独学で少しずつ覚えてきた。
被写体には幼いころから慣れ親しんできた西箕輪地区から望む景観を選ぶことが多く、特に町部をふところに抱いて正面に構える仙丈ケ岳と南西に見える将棋頭山は、愛して止まない。
「同じ場所であっても朝、昼、夕方の表情は違うから、それがまた面白い。仙丈をきれいに撮るには午後3時ころ。そうすると山のしわがしっかり出てくる。でも、西山(将棋頭山)は午前10時前の方が山の白黒がはっきりしてくる。小さい時からの『仙丈はこういうもんだ』っていう思いが染み付いているから、ここ(中条)から見る仙丈が一番いい。どうしても中条や上戸ら辺で撮ることが多くなっちゃうね」
写真を撮るようになり、四季の移ろいの美しさにも改めて気付いた。
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地元の風景を見つめる中で残念に思うことは、古き良き昔ながらの情景が徐々に失われつつあることだ。
一昔前は当たり前だった田んぼのほぞ掛けも、今はあまり見かけられなくなった。区画整備が進んだ結果、棚田も姿を消した。牛を連れた老人が道端で一服竏秩B今や見る影もないそんな光景が一昔前は日常だった。
「あの時もっと撮っておけば良かったと思うんだけどね。でも、まだ昔ながらの光景は残っている。これからはそういう風景を写真に残していきたい。今は羽広や梨ノ木ら辺にある古い道を時間をかけて撮ってみたいと思っている。若い人たちはみんなそういう風景を知らないでいる。写真を撮ることでこの地域の歴史みたいなものを残していければ」
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現在伊那市西箕輪の日帰り温泉施設「みはらしの湯」で白鳥さんが西箕輪地区で撮影した風景写真約40点を展示している。5月末まで。
みはらしの湯の営業時間は午前10時縲恁゚後9時半。