第29回プロドライバー事故防止コンクールで最優秀賞を受賞した伊那バスの運行管理責任者
伊那市東春近
小林金俊さん(63)
車両の運行状況把握、運転者の指揮監督、事故防止対策など運行にかかわるあらゆることを管理する運行管理を統括している。一般路線バス、高速バス、観光路線バスなどに加え、各市町村の委託運行バス、貸切バス、観光バスなど、多い時には1日に100台以上を送り出すことになる。
「ここは伊那バスの心臓部。24時間体制で運行状況をチェックしたり、これから出発するバスの運転手がここで健康状態やアルコールが残っていないかなどをチェックしていく。24時間はえらいことだが、お客さんに安全で快適に乗ってもらうことが第一」と語る。
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18歳で伊那バスに入社。その後、車掌や夜行バスのガイド、スキー場の管理者、営業など、あらゆる部門を経験してきた。
夜行バスのガイドの時にはお客さんに楽しんでもらうための雰囲気づくりに奮闘。当時は高速道路も自家用車もなく、伊豆に行くにも夜行バスを利用するのが一般的だった。
「お客さんは楽しみで旅行に行くのだから、少しでも楽しんでもらいたいと思ってね。でも、昔は今のバスと違ってカラオケやビデオもなく、マイク一つでどうにかしなければならなかったから、先輩の運転手に教えてもらいながら全国の名所や旧跡を覚えた。今でも、日本中の名所や旧跡が分かるし、上伊那でも路線バスが通っているところの地理なら大体分かるよ」
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運行管理責任者となってからは交通事故防止を第一の目的として安全で快適な運行のために尽力。交通事故防止やマナーに関する研修会を開いたり、目標月間を設定するなどして、直接運転に携わる運転手だけでなく、すべての社員が一丸となって交通事故防止に高い意識を持ち、お客さんには快適に乗車してもらうための環境づくりに努めてきた。
「バスはドライバーとガイド、車両の3つがそろわないと走らない。運転手の場合、入社しても路線バスに乗るまでにはかなりの時間をかけて研修をし、高速に乗れるようになるには2、3年かかる。ガイドだって一人前になるには数年かかるけど、やっとこさ高速を走れるようになって、お客さんからいい意味での声が返ってくるとすごく嬉しい」
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今月8日には、県内のバス、タクシー、トラック事業所の中で交通事故防止や交通安全に高い意識をもって取り組んでいる事業所を表彰する「第29回プロドライバー事故防止コンテスト」(県交通安全協会連合会、県警など主催)伊那バスがで7回目の最優秀賞を受賞した。
「社員が一丸となって交通事故防止に努めてこなければこういう表彰は受けられないと思う。価値ある表彰を受けられたのは嬉しいこと。安全で事故防止のための目標を達成するためにこれからも最大限の努力で取り組んでいきたい」