南アルプス鹿公園廃止を検討
継続の方策を探る
伊那市長谷にある南アルプス鹿公園の継続が厳しい状況になっている。維持管理に経費がかかり、採算が取れないことから、市は07年度の廃止を検討している。
長谷地域協議会で10日夜、市の考えを示し、委員の意見を聞いた。今後も引き続き、継続できる方策を探ることにした。
鹿公園は85年、長谷村民からシカ2頭が贈られ、鹿牧場として始まった。89年、シカが村獣指定され、名称を鹿牧場から南アルプス鹿公園に変更。現在、広さ2ヘクタールで約60頭が飼育されている。シカは人に懐きやすく、休日には子どもたちが訪れている。
年間15縲・0頭の子ジカが生まれ、頭数が増える一方。希望者に出荷しているが、有料のため、引き取り手がほとんどいない。管理委託や飼料など年間230万円がかかる。
委員から「当時は人気があったが、今ではシカの有害鳥獣被害で困っている人がいる。おしまいにしても差し支えない」との意見も出たが、規模縮小や「食肉としての活用を検討してからでも廃止は遅くない」など継続に向けた取り組みを求める声が目立った。
今後、産業や観光面から、シカの肉や皮、角の活用法などを検討していく。
市は新年度予算の有害鳥獣対策として、シカなどを食材として有効活用するため、流通・加工などの調査研究を盛り込んでいる。