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宮田こだわりのマスの燻製、養魚場閉鎖で・ス煙・ス消え

宮田こだわりのマスの燻製、養魚場閉鎖で・ス煙・ス消え

 宮田村新田区の平沢秋人さん、明子さん夫妻が10年かけて村の特産品に育てたニジマスの燻製(くんせい)。マスを仕入れていた近くにある天竜川漁協の養魚場が5月末で閉鎖し、地元にこだわった逸品は姿を消そうとしている。養魚場の存廃の行方は宙に浮いた状態が続いているが「とりあえず今の段階ではこれで終わり」と夫妻は話す。
 9日には仕入れた最後のマスの燻製も終了。ワイン樽を再利用して手作りした「燻製器」からも煙が消えた。
 「淡々とした気持ちね。宮田の味だから、村のマスじゃなければ作れないだけ。今まで続けられたのは妻のおかげさ」。
 仕上った最後のマスの燻製一枚一枚に目を配りながら秋人さんはつぶやいた。
 毎年、特産品を集めた県内各地のイベントに燻製を出品。極力夫妻2人で会場に足を運び、接客した。
 採算を度外視し、来てくれた人たちに「ありがとね」と気さくに声をかけてサービスした明子さん。
 客とのかけあいの中で認知度は高まり、交流の広がりも。みやだの燻製を求めてリピーターは確実に増えた。
 養魚場閉鎖の一報を聞いて「これからどうなるの」と心配して遠方から電話してくれる人も少なくない。
 村内に南信州ビールの醸造所が建てられた時、「何かつまみになるものを」と作り始めた燻製。
 忙しい農業のかたわらで困難にも直面したが「それ以上の感動」にも浸りつつ、夫妻のマスの燻製づくりはひとまず休止となる。

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