記者室大口
バラ
子どもの頃、池の側に古いバラの木があった。花は大輪、桃紅色の花びらが幾重にも重なり、香りも強く、とげも大きかった。先日、思い出の中に咲くバラとそっくりの花を見かけた。オールドローズの1種かと思うが、剣咲高芯のモダンローズを見慣れた目には、ひどく新鮮で懐かしく写った▼花を買う余裕などない貧しい家庭だったが、ある日、3人の娘に母は好きな色のバラの苗を買ってくれた。1番上の娘は黄色、真中は真紅を、1番下の甘ったれはピンクを選んだ。歳月が流れ、母が亡くなり、3人は集まり「あのバラ、どうなったのだろう」という話に。そんなバラにまつわる素敵な話を聞かせてもらった▼バラは素敵。それぞれのバラ物語があればもっといい(大口国江)