【駒ケ根市外国語指導助手 マシュー・チャールズ・リトルさん】
昨年8月に着任し、市内の小、中学校で児童、生徒に本場の生きた英語を教えている。任用期間は1年だが、向こう1年間の再任用が既に決まっている。
英国ポーツマス市の出身。ヨーク大学で英国史を学んで卒業後、JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)により来日した。
「東京に住んでいるおじさんが日本の伝統的な祭りや街の様子を話してくれて、文化や歴史などに興味を持っていた。日本に来て英語教師をやりたいと思ったのは、大学の友達からJETの話を聞いたから。でも、その友達が来日するのは今年の夏。影響を受けた僕の方が先に来たんだよ」
外国人に比べて日本の子どもは引っ込み思案だといわれるが「そんなことないよ。みんなフレンドリーだし、積極的に話し掛けてきてくれる。いい子たちだ」。
日本で暮らすのは初めて。一度、オーストラリアへの旅行の帰りに飛行機の待ち合わせで立ち寄っただけだという。慣れない生活の中で戸惑った経験も数知れない。特に困ったのは、学校で行われるさまざまな式や行事がどう進んでいくのかまったく分からないことだった。
「予備知識がないから、次に何が起きるのか見当もつかないんだ。普段いろいろと教えてくれる先生も式の最中に付きっきりで僕に説明なんかしていられないからね。あと、印刷物を読めないから学校の予定が分からないのにも困るね」
当初はほとんど分からなかった日本語だが、簡単な日常会話ならこなせるようになり、カタカナとひらがなも何とか読めるようになった。
「だけど漢字は難しくていまだに読めない。僕の日本語レベルはまあ中学2年生の英語能力程度かな」
暇をみては日本のあちこちを旅して回っている。東京、京都、広島、能登竏秩B札幌の雪祭りには特に感動したという。
「雪をあまり見たことがなかったせいもある。ポーツマスは冬でも暖かいんだ。だから駒ケ根の寒さはこたえたよ。教員住宅はボロだしね」
来日以来、一度も故郷に帰っていない。
「日本での生活が楽しいから別に寂しいとは感じていない。でも両親が10月に来るかも知れないんだ。僕が日本に行きたいと言った時、両親は『外の世界を見るのは良いことだ』と言って励まし、快く送り出してくれた。久しぶりに会えるのはやっぱりうれしいね」
(白鳥文男)