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地域の古くからの呼び名を橋に名付けて後世に

地域の古くからの呼び名を橋に名付けて後世に

 宮田村町一区に残る字名(あざな)「大曲り」。江戸時代に賑わいを誇った伊那街道や宮田宿の歴史を今に伝える由緒ある地名だ。社会変化などで歴史の片隅に忘れ去られつつあったが、後世に残そうと住民有志が一念発起。街道が通る大沢川の無名の橋を「大曲り橋」と命名し、表札を設置することになった。7月8日には住民勢揃いで除幕式を開く。
 江戸時代の宿場町特有の防御手段・ス鍵の手・ス。敵の攻撃や侵入を防ぐために作られたとされる大きく右に左に曲がる道筋だが、宮田宿の北側に位置するこの一帯はいつしか「大曲り」と呼ばれるようになった。
 今も街道の面影を色濃く残し、幅は広くなったが道筋も現存。
 この地に生まれ育ち、村の文化財審議委員を務める本田秀明さん(75)は「昔は大曲りに住んでいると言えば、村内だけでなく近在の人もみんな分かってくれた」と話す。
 昭和40年代以降、区や班、番地などが住所確認の主流となり、村内に数多くあった字名とともに、大曲りの名前も徐々に衰退した。
 「今じゃ60歳以上じゃなければ、あまり使わなくなった。それだけに江戸時代から続く名前を残したいと思って」と高橋清八さん(81)。
 本田さん、高橋さん2人が発起人となり15戸が賛同。地区の北端にあたる大沢川にかかる無名の橋に「大曲り」の名前を残すことになった。
 管理する村の許可も得て、御影石でできた表札を橋脚部分に設置。「古い字名を若い世代にも愛着を持ってもらい、地域のシンボルになれば」と2人は期待を寄せている。

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