宮下秀春さん(73)駒ケ根市中沢中割
花桃の里、休み処すみよしや店主
「今年は花桃の里がNHKで放映され、長野市から木曽、上田、松本、諏訪など全県から見物客が訪れた。シーズン中に1万人位来場したのでは」。
陽春5月、百々目木川に架かる矢来橋を渡ると、濃いピンクから白まで様々な桃の花、レンギョウの黄色、シバザクラの濃いピンクが目に飛び込んでくる。「まるで桃源郷、別世界」と花見客は驚く。「桃は春の花なので、花見に訪れた人が花から元気をもらえれば」と話す。
中沢生まれ、農業と炭焼きの傍ら、会社にも勤めた。定年を目前にして、第2の人生を考えた時、自分が百々目木川で川遊びをした子どものころの思い出を重ねて「子どもたちが川あそびができる場所を作ろう」と思い立ち、川の整備を始めた。
川は三六災害(昭和36年の集中豪雨災害)以来、手が入っておらず、中洲はヤナギやクルミ、ニセアカシアなど雑木が茂っていた。そこで、雑木を切り、ヨシを刈り、2年がかりで川をきれいにした。
水がきれいで安全な百々目木川は、保育園の川遊びのメッカで、夏のなると、市内の各園がバスでやってきて1日楽しく遊んでいくとか。
川整備に合わせ、何か植栽をと、最初は桜を植えようと考えたが、10年以上育てないと花が咲かないことや、清内路村の花桃街道を見て、海抜や地形的にも似ているから、桜よりも花桃が良いのではと思い、92年初めて5本を植えた。
その後、毎年30本程度、苗を購入して植え続けたが、苗は土地に合わなかったのか、ほとんど枯れてしまった。
「実生苗の方が育ちがいい」と聞き、花が咲くまでに5、6年かかかるが、種から育てることにした。以後、毎年苗作りをし、40-50本前後、定植した。 花の種類は白、赤、ピンク、咲き分け、しだれ、源平しだれなど。咲き分けや源平しだれは、赤や白の単色だったり、赤、ピンク、白が混じったりと、咲いてみないとどんな花が咲くのかわからない。「これも楽しみの1つ」。本数は年々増えて、現在では650本になった。
作業は春先のくろき消毒から始まり、せん定、花が終るとお礼肥、草刈も年3回必要。秋にも施肥をする「手入れに年間百日掛かる。消毒、肥料代もばかにならない」と苦労も多いが「みんなが喜んでくれる。『きれいだ』と言ってもらうと、苦労も報われる」。
休み処、すみよしやを開店したのは93年。妻のちはるさんが調理師の免許があり、自家製の木炭を使って、「炭火でおいしい焼肉を食べてもらおう」と開店した。
炭火焼肉のほか、イワナごはん定食、秋には店主自ら山に入り、マツタケをはじめ各種キノコを採取し、名物キノコ料理も提供する。花見の時期は花見だんごも販売もする。定休日は木曜日。営業時間は午前11時30分から。詳細は(TEL87・2840)妻と長男夫婦、孫4人の8人暮らし(大口国江)