花ろまん21天空の花園-
中央アルプスの花たち
高山植物は全て原種である。万物創世の神々が創りたもうた姿形、色そのままに。人の手でゴテゴテと飾りたてられ、もとの花と似ても似つかぬほど作り変えられた園芸種が溢れる中、人々は原種に憧れ、高山に登る。そして、氷河期から、苛酷の自然環境で生き続ける、そのけなげさが感動を呼ぶ。
中央アルプスは千畳敷カールからりょう線まで、残雪がとけると、山の花たちが一斉に芽吹き、先を競って咲き始める。氷河が削り取られて出現したカールは、豊かな地下水で潤い、6月から9月までわずか4カ月の間に、カールの看板、コバイケイソウ、特産種のコケコゴメグサをはじめ、120種類の多種多様な花たちが短い夏を謳歌し、子孫を残すために大急いで実を結ぶ。
乾燥と強風にさらされるりょう線では、孤高の女王コマクサ、中央アルプスの特産種、コマウスユキソウ、絶滅危ぐ種のハハコヨモギが岩場にしっかりと根を下ろし、存在をアピールする。
今回は中央アルプスの白色系、黄色系、紫系、赤系と色別に代表的な花を紹介するとともに、観光ボランティアガイド、加藤英宏会長に中アの魅力を、日本高山植物保護協会副会長、伊那谷支部長の片桐勝彦さんに山の花を見る時の注意事項をお聞きした。写真(1)縲・13)は片桐さんが撮影したものです(大口国江)
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中アの花畑は紫が特に鮮明、観光ボランティア・加藤英宏会長
千畳敷ホテル前で観光客に高山植物について、特徴や見分け方、和名の由来など丁寧に説明している加藤さんに中アの魅力をお聞きした。
「紺碧の空に屹立する中アのシンボル宝剣岳、カールに広がるお花畑が多彩な景観を創る。晴れた日には南アルプス連峰、富士山まで見える眺望の良さ。高山植物の宝庫で多種多様な花が咲く。紫外線が強いため、グンナイフウロ、サクライウズ、ミヤマリンドウなど紫系が特に鮮明」と話す。
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観光客に高山植物について説明する加藤さん##(中見出し)
「みんなで高山植物を守って」日本高山植物保護協会副会長、伊那谷支部長の片桐勝彦さん
千畳敷カール周辺で、グリーンパトロールに励む片桐さんに、花を見る時の注意をお聞きした。
「中アでは高山植物の保護のため、遊歩道や登山道にグリーンロープが張られている。植物は1度踏まれると回復困難の打撃を受ける。写真撮影、観察、休憩などで立ち入り禁止区域に入らない、りょう線などロープを張っていない所でも、登山道から外れないように」と話している。
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