【画家 ノブ・サチさん】
駒ケ根市
・ス夢の世界をのぞいてごらん みんなともだち み縲怩ネしあわせ・ス…。願いをこめて地球、子どもたち、希望をテーマに夢の世界を描く。「美しく平和な地球の素晴らしさを子どもたちに伝えたい、少しでもその役に立てたらという思いで楽しく描いています」
心を癒すような温かみのある作風が会社のイメージアップにつながると、作品は大手企業のカレンダーなどにも続々と採用されている。
「動物も植物も人間も同じ生き物。だからこそ、みんながいつまでも共存できる素敵な地球でいてほしい」
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神戸市出身。趣味で油絵、水彩画を描いていた母に影響を受けて絵を描き始めた。今の作品からは想像しにくいが「これでも昔は渋い絵が好きだったんですよ、岸田劉生とか…。描く絵も具象で風景や花が主でした」。好きな絵をもっと勉強したいと大阪芸術大に進学。描きたいものが見つからずに苦しんだ時期もあったが「苦しさから抜け出たら、描くことがあらためて楽しくなった」。模索の中から確立した独自のスタイルで次第に注目を集める存在となった。
「絵を仕事にできるなんて全然考えていなかったのに、周りの人たちの助けでいつの間にか作家にさせてもらっていました。今でもただただ好きで描いているだけで特に才能なんかありません。締め切りに追われてすごく忙しい時もありますが、それでも描くのは楽しくて、苦しいと思ったことはないんです」
作品から受ける印象そのままの温和な性格。子どものころから集団生活やチームワークが苦手で、友達が楽しそうに遊んでいるところを少し離れた物陰から見ているような少女だった。「怒ったり怒鳴ったりしたことがないんです。一言でいえばマイペースだけど、やっぱりちょっと変わっているのかな…」人前に出ることは今でも恥ずかしく、個展の会場に出るのも大変な勇気がいるという。
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ずっと以前から自然が素晴らしい長野県に住みたいと思っていた。3年前に駒ケ根市を訪れて一目で気に入り、即決でアトリエを購入。
「アルプスの美しさときれいな川。絵を描く時に頭の中で想像するだけだった森の世界が現実のものとしていつでも目の前に広がっていることに感激しました。ちょっと庭に出ただけでたくさんの虫や鳥が息づいているのを見ることができるなんて本当に最高の環境です」
静かな所でひっそりと誰にも会わない生活をしたかったのも本音だったというが「心配して声を掛けてくれる人たちがいて、それがとてもありがたくてうれしかったんです。私は一人で生きているんじゃないって気がつきました。そのことは、知らず知らずに絵にも表れてきているような気がします。こんな素晴らしい所で好きな絵を描いていられて幸せ。だから私だけでなく、みんなが幸せでありますように…」。
(白鳥文男)