仲仙寺「仁王門」改築に向け 金剛力士像引越し
伊那市西箕輪の天台宗「仲仙寺」の仁王門の全面改築に伴い、22日、同門に安置する県宝・木造金剛力士像2体を一時、民間業者の倉庫に保管するための運搬作業があった。その際、像がまとった裙(もすそ)に描かれたボタンの花柄=写真=が発見されたほか、高さ約2メートル50センチの巨像を支える台座部分の仕組みなどが明らかになり、檀家らを驚かせた。
ボタンの絵柄は、2体の背面から見つかった。彩色が施されたのは100縲・50年前。像正面は、直射日光や風雨の影響で風化が進んでいるのに対し、背部は壁を背にしていたため、ボタンの白色や赤い肌色が鮮明に残っていることに驚きの声がわいた。
仁王像を固定した台座は、縦55センチ、横150センチ、高さ35センチの松の大木。それぞれの足の芯を台座に埋め込み、くさびで止めていることが分かった。「以前から、あの巨体をどうやって支えていたのか興味のあったこと」と檀家たちも目を輝かせて作業を見守った。
2体は、室町時代の1501(文亀元)年に、雲慶法印の10代目の弟子になる康忠法眼が製作。向かって右側が密迹金剛、左側は那羅延金剛。05年、「全体の調和、均衡が取れ、堂々としている」として、県宝の認定を受けた。