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【ピアニスト 松島さおりさん】

駒ケ根市南割

【ピアニスト 松島さおりさん】

 駒ケ根ロータリークラブの国際奨学生として、8月末から1年間イタリアに派遣される。
 「ミラノのベルディ音楽院で勉強し、本場のクラシックピアノの表現を深めてきたい。外国の人たちと互いの文化を紹介しながら心の交流もできたらいいなと思っています」
 食事や習慣など、生活スタイルの違いや言葉の不安はあるが「とても楽しみだし、とにかく本場でじっくり勉強できることがうれしい。1年後に帰ってきた時には、ピアノはもちろん、人間的にも少しは進歩していたらいいな」
 ◇ ◇
 ピアノは4歳から始めた。駒ケ根市内の三沢ミュージックスクールで基礎を学び、武蔵野音大ピアノ科に進学。さらに大学院で2年間、技術と感性を磨いた。
 「大学に入る時に、将来はピアニストを目指そうと決めていました。音楽が大好きだったし、ずっとピアノを弾いていたかったから」
 大学院1年生、22歳の時、教授の勧めがあり、ギリシャで開かれたピアノ・コンクールに出場した。初の海外コンクール挑戦にもかかわらず、培った実力を存分に発揮して2位を獲得(1位は該当者なし)。
 満足のいく結果が出たことで自らの演奏に自信を持つことができたが、それ以上の大きな収穫があった。
 「ずっと国内で演奏してきて初めて海外のピアニストたちの音楽を肌で感じ、日本人の演奏とは違う竏窒ニ思い知らされました。演奏者の『こう弾きたい』という気持ちがピアノから強く伝わってくるんです。それに比べて自分の演奏はおとなしい。教えられた通りに弾いてきたけれど、もっと自分を出していいんだ竏窒ニ気がついたんです。音楽はシャイ(内気)では駄目だなって」
 特にイタリア人の明るい表現が印象的だった。彼らの国の文化や生活が音楽性に影響を与えていることがひしひしと感じられた。
 審査員の評価も日本とは少し違うと感じた。
 「間違えずにきちんと弾くことより、どういう演奏をするかが重要。少しぐらいのミスは恐れず、自分の考えをしっかりと出すことが大切なんです」
 ◇ ◇
 帰国後、周囲に「演奏が変わった」と言われるようになった。
 「表現がオープンになったねって。それまでも『心を開いて演奏して』とよく言われていたけれど、自分ではそうしているつもりだった。でもできていなかったんですね。海外での体験を通してそれが初めて分かりました」
 海外で得たことの大きさが忘れられず、その後も欧州での勉強の機会を模索した。自分で情報を集めて有名な先生を探し、講習を探し当てて1年後に再び渡欧。ミラノの音楽院の教授にテクニックや表現をじかに学び、翌年も同じ教授の下でさらに研さんを積んだ。
 ◇ ◇
 海外の若い演奏家に比べ、日本は恵まれていると感じている。
 「向こうではみんなお金がないのにすごく頑張っている。グランドピアノなんか持っている人は少なくて、ほとんどがアップライトで練習している。私も彼らに交じって学ぶ中で、負けないように一生懸命頑張ってきます」
 (白鳥文男)

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