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205/(火)

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伊那市で北海道犬活用した野生動物の追い払い事業が始動

伊那市で北海道犬活用した野生動物の追い払い事業が始動

 伊那市は4日、9月の一般会計補正予算に計上し、08年度から本格始動することを目指す北海道犬を使った有害鳥獣対策「人間・化成動物共生プロジェクト」について記者会見をし、試験的に訓練をしている北海道犬数頭を公開した=写真。里へ出てきた野生動物を訓練した北海道犬が山へ追い払うという同事業は、クマのほか、イノシシ、サル、シカなど、四足全てに有効。おりで捕獲し、山へ帰す場合より迅速に対処できる。小坂市長は「今までの訓練経過や北海道犬の素質を見て、成功すると思っている。試みが伊那で成功すれば、長野県各地の先駆けになる。ぜひ成功させていただきたい」と語った。
 野生動物の農作物被害や人里への侵入が各地で増加する中、伊那市では、「野生動物との共生」を実現するための有害鳥獣対策を模索。そんな中、かねてから市内で飼われていた北海道犬の野生動物を追い払う資質に着目し、元北海道大学助教授でニホンザルなどの研究をしてきた鈴木延夫氏(66)=伊那市高遠町=の協力を得ながら今回の事業を計画してきた。
 鈴木氏の構想では、市内に野生動物救急対応センターを開設し、地域住民からの通報を受けて、指揮者1人と3頭の訓練犬を派遣。問題の野生動物を山へ追い返す竏窒ニいうのが一連の流れで、北海道犬の購入、訓練、選任訓練者の育成などはすべて鈴木氏に委託する予定でいる。9月の補正予算案が通った後、1頭5万円の北海道犬10頭を段階的に購入し、随時訓練を進めていくが、北海道犬の中でも追獣犬として活動できる犬は限られるため、生後90日から150日の間の資質の有無を見極め、資質のない犬は一般の家庭に購入時と同額で引渡す。その引渡し金で新たな北海道犬を購入、一連の作業を繰り返す中で最終的に市は、訓練を修了した10頭を引き取る。
 犬の訓練を開始すると同時に犬と一緒に現場に出動する専任訓練者の養成も進める予定で、一般市民から募った適任者を3人程度選任。本年度末ころまでに訓練を完了し、新年度から本格的に始動していきたいとしている。
 一方で鈴木氏は、「北海道犬はあくまでも応急的な対策。大事なのは山を復元するための間伐であり、動物の立場に立った森林行政を進めてほしい」としており、今後は森林環境を再構築するための構想を固めていきたいとしている。

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