坂井寛さん、飯島町七久保
飯島町社会教育委員会議議長、書家、多趣味人
先日、飯島町から諮問されていた「生涯学習まちづくり計画パートIII」の提言をまとめ、答申した。「生涯学習センター(仮称)構想はパートIIで提言したが、時期尚早だったのか実現出来なかった。長野県や伊那市にもでき、パートIIIの期限内で方向が決まればいい。団塊の世代の生涯学習をどう進めるか、新たに町に定住した人などの新しい風を積極的に受け入れ、多様な他者の存在や個性を認め合う気風づくり-などを盛り込んだ。今後、どのように実現できていくのか検証していきたい」。
1945年飯島町生まれ、民間企業を経て、工業高校の教諭に。駒ケ根工業、箕輪工業、飯田工業で教鞭を取った。希望して、2年間、箕輪工業高校定時制も受け持った。「色々な生徒がいて、大変勉強になった。毎日が新しい発見で、難しい面もあったが、実りの多い2年間」と振り返る。今年3月、駒ケ根工業高校を退職し、今は趣味三昧の日々。
自他ともに認める趣味人であり「生涯学習が歩いている」とも言われる。趣味はざっと数えて40を超える。しかも20年、30年と年季が入っている。中学生の時から明治時代の切手を集め、骨董にも手を出した。トンボ玉や氷コップ、ガラスのしょう油さし、インクびん、ペン、古い焼物などのコレクションが、書斎や廊下に置かれたガラスケースに、整然と陳列されている。
地理にも詳しく、長野地理学会の会員でもあり、インテリア、山野草、古典文学にも造詣が深い。
しかし、なんといっても趣味の中でも「書」は別格。高校2年生の時から、友人が持参したペン習字講座のパンフレットを見て、通信教育で、石川芳雲さんに師事。並行して毛筆習字を池内叢舟さんに、基礎から楷書、かな、行書、草書を習った。21歳の若さで日本ペン習字研究会の特別賞に輝いた。
しかし、10年前から、「かなまじり文」で独自の世界を展開、個展で発表するようになった。
「人まねでなく、へたに見えるように書く。無心で無欲の子どもの字が1番うまい。字と字の間隔をわざと空けたり、自然に曲げたり」と、坂井さんの字は1つも同じ字がない。字でありながら、絵のようでもあり、稚拙に見えて、墨と余白で計算され尽くした美を形成する。
「書くまで、どう表現しようか、何カ月も考え、書き始めたら1枚しか書かない。いい書は1カ月に1作品書ければいい」とか。
現在、「であい・はっけん・かくにん」をテーマにした第7回の坂井寛書作展を控え、準備に余念がない。
同展は9月7日縲・1日、伊那市生涯学習センターいなっせ2階で開催。八木重吉や中原忠弥、井月などの詩や句を書いた作品約40点を展示する。妻と母の3人暮らし(大口国江)