【駒ケ根太鼓 岡田洋子さん】
駒ケ根市北割二区
観光イベントに、成人式などの行事に、各地の祭りに竏窒ニ市の顔として定着している伝統の駒ケ根太鼓。その将来を担う中核メンバーとして大活躍している。
「具合が悪くても太鼓を打つと元気になる。疲れなんか吹き飛びます。私にとっては元気のもと、生きがいですね」
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駒ケ根太鼓との出合いは3年前。仕事と子育てのほかに何か夢中になれるものを探してヨガ、太極拳などいろいろとやってみたが、性に合わなかったのか長く続けようという気になれなかった。そんな時、息子が通う小学校の運動会で、子どもたちによる和太鼓の演奏を見た。
「すごく心を動かされました。息子に『やってみないか』と勧めたんだけど、その気が全然ないようで…。それならいっそ自分でやってみよう、やってみたい、と思ったんです」
しかし太鼓を習おうにも知識もつてもなく、周囲の知人に聞いてみても「知らない」、「分からない」とつれない返事ばかり。思い余って新聞に「誰か指導者を紹介してください」と投書をしてみた。だが掲載後1カ月以上たっても反応はなし。あきらめかけていたところ、ようやく新聞社から待望の電話が入った。新聞を見た駒ケ根太鼓の指導者中坪兼吉さんが連絡してくれたのだ。
「やった! という感じ。喜んで早速練習に飛んで行きました。初日は見学のつもりで行ったら、いきなりマンツーマンの指導を受けてびっくりしたり、うれしかったり。夢中で構えやばちの握り方などの基礎を覚えました。太鼓はまったくの未経験でしたが、本当に夢中になりました。変な先入観がなかったのがかえって良かったのかもしれません」
練習は肉体的にはかなり大変で、ひざや股関節、ももなどがひどい筋肉痛に竏秩B普通に歩くことができない日もあった。技術的に難しかったのは手首のスナップを利かせること。こつを習得するまでにかなりの時間がかかった。手にはマメができ、手首を痛めることもあったが、それでも懸命にけいこを重ねた。
2カ月後、初めてのステージに立った。会場は市文化会館の大ホール。成人式のアトラクションでの演奏だった。
「締め太鼓を打ちました。舞台の端っこで、先輩たちの打つのを横目で見ながら…。緊張感はありましたが、客席は見えていたし、上がることもなくて気持ちが良かった」
習い始めた時はただ打てるだけで満足だったが、一度舞台を経験したことで太鼓の魅力のとりこになった。さらに練習に打ち込み、舞台を重ねるごとにめきめきと上達した。
「幕が上がっていく時の緊張感、演奏が始まって曲に集中している時の感覚…。何ともいえませんね。舞台での演奏中も、楽しくて思わず笑みが浮かんでしまうことがよくあるんですよ。これからもずっと打ち続けていきたいですね」
(白鳥文男)