桑原地区限定の山桃「おはつ」で地域おこしを
中川村大草桑原地域限定の山桃「おはつ」桃が、北組の松下弘毅さん(66)=農業=宅で、たわわに実った。松下さんは「この珍しい原種の山桃で地域おこしができないか」と直売所などに配り、アイデアを募集している。
「おはつ」桃は戦前から、桑原地区と大鹿村のごく一部で栽培され、別名「桑原桃」。果実は直径5センチ前後と小ぶりだが、さわやかな風味で、なりも良い。真ん中から半分に割れ、食べやすいのも特徴。
春の花色はピンクが濃く美しい。病気に強く、種の出芽率も高いため、「おはつ台」と呼ばれ、園芸種の桃の台木に使われている。
言い伝えでは桑原に「おはつ」という娘がいて、大鹿村に子守奉公に行く時に、持っていったのがこの桃。
子どものころ、桑原から背負いかごに入れて売りに来た桃を食べたという松下さん。「何もない時代だったので、虫に食われていたが、おいしかった」
9年前、桑原の山桃を平地で栽培し、地域おこしができないかと穂木を取り寄せ、苗木を作り、畑に植えた。
現在、この木は幹の直径20センチ、樹高3メートル余に生育し、果実は500個以上なっている。
「風土に合った地域限定の『おはつ』桃。このままの形を大切に、特産品づくりに利用できないだろうか」と話している。