資産家に何が?宮田村の刺殺事件
「兄弟間でうまくいっていないとは聞いていたが、まさか殺すなんて」。宮田村でも1、2を争う大地主。名の通った資産家の中でおきた凶行に、誰もが驚きを隠せないでいる。
けたたましく鳴るパトカーや救急車のサイレン。兄の容疑者と弟の被害者宅は100メートル足らずの至近距離。閑静なJR宮田駅前の住宅街で惨劇は発生した。
兄の進八郎容疑者は親から継いだ肥料などを取り扱う会社を経営し、学校PTA会長を務めるなど村内の各種活動に積極的に参加。今も商工会商業部会長、社会教育委員などをこなし、村内では幅広く顔が知れている。
近所や商工会の仲間、旧知の知り合いの多くが「言葉づかいも丁寧で、人付きあいもいい。資産家ということをハナにかけていない」と口を揃える。
殺された弟の秀啓さんには、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアの経営を任せたが、長続きせずうまくいっていなかったという。
「単純なお金の問題ではない。長年のうっ積や家族間のこともあったはず。しかし、激高する何かがあったんだと思う」と親しい人たち。
同容疑者は犯行当時酒に酔った状態だったとみられる。多くの人が「いつも酒を飲んでもじょう舌になるくらいで、感情的になることは決してなかった」と話すが、若い頃に飲酒でトラブルがあったとの証言もある。
最近、宮田駅前の再開発に地権者として主導的な役割で関わっていた同容疑者。夢や希望も抱いたその土地の近くで犯行に及んでしまった。