骨董(こっとう)「ゴリラ」の高橋晃史さん(63)飯島町七久保
骨董は時代を超えてきた頑固もの
「古い物は長い間受け継がれてきた、頑固もの。親父やお袋、ふるさとへの郷愁を感じさせる」。
1944年満州に生まれ、引揚後は父の実家、仙台市で育った。地元の高校卒業後、上京し、七宝焼の会社に入社。以来、15年間、七宝焼の創作に励む。「ガラスに金属を焼きつけ、貴石のような美しい作品を作る。窯から出した時の瞬間の輝き、物づくりの醍醐味を感じた」。物作りが好きで、七宝焼のほか、彫金、彫刻、額縁、菓子づくりも手掛けた。
12年前、山のある風景にひかれ、長野県に通っているうちに、飯島町七久保の千人塚公園に空き店舗を見つけ「池があり、桜があり、山並が見える。春夏秋冬、風景が変わる、県内でも1番いいところ」と、すっかり気に入り、借りることに。「この店舗でどんな商売をしようか」と考えている時に、長野五輪に合わせ、「長野の食材を世界に広めよう」という運動の一環で、料理コンクールの公募があった。「料理」「土産品」「軽食」の3部門があり、地元産のリンゴやブトウ、アンズなど果物を入れた、ハート形の創作焼菓子「ビーンズハート」で「軽食部門」に応募。千人以上の応募の中から見事3位入賞を果たした。
菓子のネーミングを社名にし、菓子販売に合わせ、借りた店舗で喫茶営業も始めた。7年間、喫茶と菓子の製造販売に精を出したが「物づくりはできても、商売は自分の性に合っていない」と、見切りをつけ、20年前に「古物商」の認可を受け、菓子製造の傍ら、細々と商っていた骨董一本に切り替えた。
8月下旬に「近くに道の駅もあり、商売には道便の良い方がいい」と千人塚公園から移転、広域農道沿いに、古布の店「にんじん」と共同店舗を構えた。
店内には家具類、特に時代たんすが好きで、仙台たんす、大江水屋たんす、最上たんす、二本松たんすなど様々なたんす30さおを展示する。蔵戸、火鉢、時計、ランプ、茶道具、つぼ、陶器、敷物、古民具、珍品など色々。「穴の開いた鉄びんは花生けに、蔵戸はテーブルにするなど、本来の用途にこだわらず、独自の使い方を見出すのが楽しい。新しい物は物としか見られないが、骨董はどんな人が使っていたのか、物のたどった履歴、ドラマをそれぞれの感性で見ることができる」と骨董の魅力を。
「ゴリラ」のネーミングは社名「ビーンズ・ハート」よりも、ユーモラスで骨董のイメージ「頑固もの」に合っているとか。
なお、広い駐車スペースを利用し、10月から、土日曜日に朝市広場を開催する計画で、現在、出店者を募集している。
「ゴリラ」の営業時間午前10時縲恁゚後6時。詳細はゴリラ(TEL86・6539)(大口国江)