古布を再生しパッチワーク楽しむ
南箕輪村
堀初恵さん
「切れたら捨てて買うのでなく、物を大事にしたい。せっかく昔の人が知恵を出して作ってくれたんだから」
10年ほど前、南箕輪村公民館のパッチワーク教室に通ったのがきっかけで、古い布を再生し自己流で作品づくりに取り組んでいる。
最初に作ったのはクッションカバー。その後、「本を見てやるのは難しい。自分の頭で考えるのが楽しい」と、こたつ掛けやテーブルクロス、座布団カバー、バッグなど実用品を作っている。
「手持ちの物をただ捨てないで生かす。パッチワークにしたら生きるもんで楽しい」。ブラウスのレース部分を生かしてバッグにしたり、ネクタイで保険証入れを作ったり、古い蚊帳をのれんにしたり。旅先で気に入ったバッグなどを見つけるとデザインをメモし、自分の記念に購入したハンカチやコースターなどを使って、メモを参考に自分だけのバッグに仕上げる。
玄関には壁掛けを飾り、テーブルクロスは季節に合わせて替える。習い始めのころに作ったこたつ掛けもまだまだ現役。手作り作品は家の中で大事に使っている。
布は、家族や知人が浴衣の見本生地、布団の布、着物、帯などを持ってきくれることも多い。「古い布に出合うと、もう感動。暗がりの中で布の手触りが気に入ってもらってきた布を家で広げたら家紋がついていた。これを生かしてやらないといけないと思ってね」と、色が薄くなっていた家紋は刺しゅうをして新たな命を吹き込んだこともある。
布のお礼に筆入れなどを作って贈ったり、欲しいという人には作品をプレゼントしてしまうが、「お父さんに出会ったころのネクタイで作った保険証入れは、あげられない」と大切に手元に置いている作品もある。
京都の南禅寺に書いてあった『夢は行動しなければ実現しない』という言葉が好きで、専業農家で年中休む間もなく働きながら、夜のひとときを利用してパッチワークをする。「お嫁さんがご飯を作って片付けをしてくれる。だから半分はお嫁さんが作ってるようなもの。仕事では肩がこるけど、パッチワークしているときは肩がこらない。ぜいたくだね」。
一針一針心を込めて縫い上げた作品は現在、南箕輪村の大芝荘、大芝の湯で展示している。(村上裕子)