さまざまな思い込めて作品づくりに励む
伊那市西春近
伊那西高校文芸クラブ
県高校文化連盟などの主催するコンクールをはじめ、さまざまなコンクールで毎年数多くの入賞者を輩出している文芸クラブ。現在は1年生から3年生までの14人がおり、俳句、短歌のほか、小説や詩などに取り組む生徒も多いという。毎週3回のクラブ活動は和気あいあいとした雰囲気だが、作品づくりの姿勢は厳しく、一つの作品が完成するまでには何度となく推敲(すいこう)を重ねる。
「一首つくるにも『あと一歩ね』なんて話しながら何度も作品を練り直させるから、楽しいっていうより、つらいかも知れません」と顧問の伊藤あけみ先生は語るが、一方の生徒は「つらい時もあるけど、自分の言葉として生み出していくことは楽しい」と笑顔を見せる。
一人ひとりの作品は多種多様だが、それぞれの内面を映し出した個性豊かな作品も多い。
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こうした精力的な活動が認められて、NHKの趣味・教養テキスト『NHK 俳句』(NHK出版)の10月号では、同クラブの活動が4ページにわたり掲載された。
掲載に先立って6月には取材、撮影があり、俳人・石田郷子さんを迎えて学校周辺で初めての吟行に挑戦。雑誌にはその時の石田さんとのやりとりや生徒らが作った俳句が紹介されている。
俳句を通じて身近な風景を見つめる中で、改めて俳句の楽しみを知り、お互いの作品から影響を受け合うことができた。
部長の下平恵さん(17)は「なかなか一人では気付けなかったことへの指摘もあり、これからの文芸部のためになる意見もいただけた。これを見ていろんな人にもっと興味を持っていただけだら」と語る。
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厳しくも温かく生徒らの成長を見守る伊藤先生は生徒らに次の思いを託す。
「一つはほかの人たちよりもアンテナを高くして、いろんなものの見方ができるようになってほしい。あと、表現する楽しさでもっと遊んでくれたら」