箕輪消防署消防士
箕輪町
押野大樹さん
「人の役に立てる消防士に」
今年4月採用され、箕輪消防署の消防士になった。長野県消防学校(長野市篠ノ井)の初任科で6カ月間学び、10月3日の卒業式では成績優秀者として表彰された。50期生78人の内、優秀者はわずか3人。「うれしかった。教官たちにもいろいろ教えてもらったので、感謝の気持ちが大きい」と語る。
消防士を目指したのは、「人の役に立ちたい」という強い思いからだった。
箕輪中学校在学中、職場体験学習で選んだ先は箕輪消防署。消防士は、当時やってみたいと思っていた仕事の一つで、体験学習を通して「かっこいい仕事だな」と憧れを強くした。
高校卒業後、資格を持って消防署に入るほうがいいと考え、湘央学園(神奈川県)の救急救命士科で2年間学んだ。救急救命士の国家資格を取得し、「いろいろお世話になったから恩返しがしたい」と、地元で働くことを希望した。
4月、消防学校に入学し、学科に加え放水訓練、ロープの取り扱いなどの基礎から煙中訓練、建物進入、はしご救助、救助操法などさまざまな訓練をし、徒歩訓練で山登りもした。箕輪消防署での1週間の実務訓練では、訓練生として救急車に乗車したり、先輩の署員と救助訓練などにも取り組んだ。放課後は体力錬成で走ったり、筋力トレーニングにも励んだ。
「辛かったけど、今となっては、いい夏の思い出です」と話すのは、夏に防火着を着て酸素ボンベをつけて煙の中に入った煙中訓練。記憶に残る訓練の一つだという。
「厳しかった分、仲間とのきずなができた。一人ではできないことも、皆が一つになれば大きな力で何でもこなせることを学んだ」
筆記試験と実技試験を終え、卒業式当日には、総まとめの実科訓練で救助訓練のセーラー渡過や一斉放水など成果を披露した。
消防学校を卒業し、いよいよ中学時代に訪れた消防署での勤務が始まった。
「まだまだ足りないことばかり。体が一番資本だから走ることは続け、学んだことを生かし、少しでも早く一人前になれたらなと思う」。決意を新たに、力強く話した。(村上裕子)