途絶えた舞「子供神楽」を復活へ
伊那小学校6年毅組
伊那市の伊那小学校6年毅組(和田卓也教諭、30人)は、伊那市荒井区内の萱にある駒ケ岳神社里宮で20年前まで例年踊られていた伝統の舞「子供神楽」を復活させた。14日、同神社の神楽殿前に地元住民らを招き、これまで学んできた舞を披露した。
小学校の総合活動で4年生から、獅子舞披露や太鼓演奏をしてきた毅組は本年度、「舞」について調べていた。6月下旬、市文化財審議委員の久保村覚人さん(80)=荒井区=を学校に招き、内の萱の歴史と子供神楽の存在を知り、復活に向けた活動を始めた。
久保村さんによると、子供神楽は山開きの安全や五穀豊穣(ほうじょう)、繭の豊作を祈って、明治の初めごろから地元の子どもらにより踊られてきた。しかし、参加する児童たちの減少とともに1987(昭和62)年を最後に途絶えているという。
児童たちは「なぜ踊られなくなったのか」を知るため、内の萱の全戸を回った。そこで、途絶えていることが残念だ竏窒ニの地域住民の思いに触れ、自分たちで踊ってみたいと思うようになった。それから、かつて舞を踊った経験のある唐木好春さん(77)、室岡智明さん(73)=ともに内の萱=らを学校に招き、踊り方や太鼓、笛の演奏方法を学んできた。
本番当日は、20年間使われなかった衣装や小道具を使用し、「鈴の舞」「剣の舞」「蚕玉(こだま)の舞」の3種からなる子供神楽を3回に分けて披露した。休日だったため児童30人のうち都合のついた19人が、クラス全員の思いを胸に参加した。
地域住民や保護者のほか、現在は結婚して地元を離れているという人など、延べ約100人が神楽殿の周りに集まり、舞の復活をその目に焼きつけた。
復活を期待する地域住民の思いや、熱心に舞を教えてくれた人々の姿、優しさに触れた児童。和田教諭(27)は「地域の人たちに見てほしいとの願いがかなったことがうれしい。子どもたちは人とのかかわりの中で大きく成長した」
子供神楽の「蚕玉(こだま)の舞」を披露する児童たち