横田昌蔵さん(79)飯島町七久保
ふるさとへの思いを込めた「飯島28景」を制作
飯島町七久保の新世紀美術会員で郷土作家の横田昌蔵さんは、ふるさと飯島町への思いをこめた「飯島28景」を制作。12日から町内で開く個展で披露する。
長く親しまれている駅舎や列車が勇壮に走る鉄路、鉄橋、最近作られ、歴史に残ると思われる建造物、朝な夕な眺めている中央アルプス、南アルプスの山並、古刹、のどかな田園風景など、心に残る風景や絵心誘う28カ所を選んだ。
1928年七久保に生まれ、長野青年師範学校を卒業し、中学の美術と社会科の教師に。飯島中学校や西春近中学校で教える傍ら、油彩を新世紀美術協会役員の浅井正勝さんに師事し、制作活動に励んだ。
創作は風景画を中心に、県展や新世紀展に向けた人物の大作にも力を注いだ。海も好きで、海の絵も多い「特に房総の荒海をよく描きに出掛けた。ナイフで力強く描いた絵は結構気に入っている。ひなびた漁村の風景、海の夕焼け、小焼けは絵心を誘う」。
1988年中川中学校長を最後に定年退職した後も、非常勤講師として駒ケ根工業高校と松川高校で合わせて10年間美術を教えたが、その後は画業一筋。
12日から始まる「飯島28景」は「生きてきたわがふるさとをしっかり見つめよう」と、1年以上前から構想を練り、候補地にスケッチに出向いた。田切地区は坂の上の田切駅、白き門の聖徳寺、残雪の田切岳、吉瀬田切大橋、飯島地区では黒い門の飯島陣屋、仙丈ケ岳遠望、与田切から望む南駒、本郷地区は西岸寺の山門、与田切鉄橋、七久保地区は慈福院のしだれ桜、塩見岳の冠雪など28カ所に絞り込んだ。
作品は6号が中心で、3分の1が水墨画、残りが油彩。「油彩はねっとりしっかり描ける。水墨画は日本人的な淡泊な良さがあり、どちらも棄て難い」とか。「作品を見た人がふるさとの良さを再発見し、郷土愛を育んでもらえれば」と話す。 今後は、行燈市や「いいじまはないち」など、人と暮らしをテーマに描いていきたいとも。
個展は「美しい、豊かな飯島28景を描く」と題し、12日から来月12日まで、JR飯島駅前アミカホールで開催する。
妻と2人暮らし(大口国江)