理兵衛堤防の史跡調査始まる
中川村と国土交通省天竜川上流河川事務所と
中川村田島の天竜川天の中川橋上流で15日、国交省天竜川上流河川事務所と中川村教育委員会による理兵衛堤防の発掘調査が始まった。10月末までに本格発掘し、形や構造など全容を明かにする。
昨年7月の豪雨で被災した田島の堤防護岸復旧工事が貴重な土木遺産、理兵衛堤防にかかることから、工事完了後の理兵衛堤防の復旧方法について、基礎資料を得るために調査を実施する。具体的には下流から上流に向け、両側を掘削し、全体の姿を出し、積み方を調べたり、測量する。
調査に先立ち、村や同事務所、発掘関係者ら約20人が出席した発掘式で、発掘団長の松村正明教育長は「天竜川治水工事の歴史的遺産が7月の豪雨の後、200年の時を経て姿を現した。本格発掘し、形や構造など十分な記録を取りたい」とあいさつ。
この後、早速、重機や手作業により発掘調査を開始した。
【理兵衛堤防】
天竜川と前沢川の合流地点の田島の水田は洪水の常襲地帯で、洪水から耕地を守ろうと、前沢村の大地主松村理兵衛忠欣は1750年、私費投じて、築提に取りかかった。その後、堤防は何度も洪水で流されたが、常邑、忠良と3代60年掛けて完成させた。延長180メートル、延べ50万人余が工事に従事し、3万両の巨費を投じた。天竜川では唯一の治水工事の遺構。