伊那市有線放送でDSL高速通信実験10周年記念式典
DSL高速通信実験が伊那市有線放送のネットワーク上で行われてから10年が経った17日、伊那市のいなあいネット(伊那市有線放送農業協同組合)で記念式典があった。当時の実験に関わった関係者など約20人が集り、当時を振り返りながら今後のブロードバンド環境について語り合った。
通信事業者などの協力のもと、同有線放送DSL技術の実証公開実験が行われたのは97年9月。NTT電話網の場合、電話局から離れるとつながりにくくなるなどといった弊害もあり、当時はNTTもADSLを導入していなかった。しかし、有線放送の場合、本局と8支局をつなぎ、その支局と個人宅を結ぶことでADSLによる高速通信を実現。この実証実験の後、ADSLによる通信事業が一気に日本中に波及した。
2000年3月からADSLサービスを開始した伊那市有線放送でも現在、加入7500戸のうち、2500戸が同サービスを利用しており、地域の情報通信の一端を担っている。
実験から10年を経た記念に、「ADSL発祥の地」と示したモニュメントを同有線放送敷地内に設置。関係者らによる式典を開き、その除幕を行った。
当時、組合の参事として実験に参加した中川泰さん(63)=富県=は「放送と通信が双方に乗合になる時代が当然くるとは思っていた。今後は、信頼のできるネットワーク技術をきちんと構築していくことが課題だと思う」と話していた。