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2511/(月)

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【クラフト作家 松本卓さん】

駒ケ根市下平

【クラフト作家 松本卓さん】

 何もないところから原型を起こし、型取りをしてオリジナル作品を製作する。作品のメーンは照明器具。素材は木材や樹脂で、独創的な飛行船やロケット型が多い。
 「飛行船はもともと好きだった。その飛行船が暗い夜空を飛んでいて、明々と電気がついていたらきれいだろうな竏窒ニ思ったのが制作を思い立った始まり」
 作品を見ると簡単な形に思えるが「この紡錘型にたどり着くまでが苦労だった。いろいろと試行錯誤を重ねてね。これだ竏窒ニいうアイデアをひねり出すのが一番大変なんです」。
 ユーモラスなペンギンのフィギュア。ポリウレタン樹脂製で、1つ作るのに約1カ月かかる。
 「2本足で立っているから人間っぽくて擬人化しやすい。面白くて遊びで作っているうちに数が増えて、気がつけばこんなに…という感じですね」
 全国各地で開くクラフト展に必ず買いに来る固定ファンもいる。中には1人で10個もまとめ買いする人もいるほどの人気だ。客層は20縲・0歳代が中心。男女はあまり関係ない。
 「見た瞬間に笑ってもらえるような感じを心掛けている。もっとリアルにしようと思えばできるが、やりすぎるとユーモラスなイメージが薄れてしまう。どこまでデフォルメするかが難しいところです」
 さまざまなポーズが笑いを誘うペンギンたちだが「アイデアは日常生活の中で自然と浮かんでくる」という。
 ◇ ◇
 兵庫県生まれ。子どものころはプラモデル作りに夢中だった。幼心に「将来は自分で何か物を作って生活できたら」と漠然と考えていたという。だが、その夢はいつか心の奥深くにしまい込まれ、大人になるまで忘れられたままだった。
 大学卒業後、住宅メーカーに就職して営業の仕事をしていたが、自分の人生はこのままででいいのか、と思えてきた。
 「働く中で本当にやりたいことを思い出した。昔の夢がまた見えてきたような気がしたんです」
 好きな物作りで生きていこうと意を決して退職。松本市の技術専門校で木工を学んだ後、三郷村の家具製造業に職を得て職人として働いた。
 個人的な趣味として照明器具を作り始めたのはその数年後。たまたま手に取った本で、ある照明作家の作品を見て感心した。
 「照明は本来周りを照らす道具ですが、そういう実用的なイメージでなく、造形としてすごく面白いと思った。照明という概念にとらわれない面白さに感動しました」
 本に紹介されていた作り方を見て自分でも作ってみた。同じころ、ペンギンのフィギュアも制作を開始。作品は欲しいという人にプレゼントしていたが、口コミで評判が広がってだんだんと注文が増えてきた。
 「最初は小遣い稼ぎぐらいのつもりだった」が、これこそが本当にやりたいことだと気がつき、家具店を退職して工房を起こした。
 ◇ ◇
 作品は小売店に卸していた時もあったが、経費が思ったよりも大きく、売り上げをめぐってのトラブルもあってやめることにした。
 「注文に追われて、じっくり作ることができなくなったことも大きい。これからは一品物というか、自分の思った物をストレートに作っていきたい。温めているアイデアもあるし、どんな作品に仕上がるか、自分でも楽しみです」
 (白鳥文男)
 作品は各地のクラフト展やイベントなどで販売中。希望者にはウェブサイト(http://ameblo.jp/airship1192)を通じての販売もする

【クラフト作家 松本卓さん】

自信作の飛行船などユニークな照明器具。大きさにより1万縲・万円程度

【クラフト作家 松本卓さん】

高さ7センチほどのペンギンたち。1体2千円

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