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南箕輪村
信州大学農学部の学生寮「中原寮」の寮長
松浦崇裕さん(23)

南箕輪村<br>信州大学農学部の学生寮「中原寮」の寮長<br>松浦崇裕さん(23)

 寮生は家族。それぞれ違う価値観を持っているけど、そういう人たちと生活することで自分の価値観も広がっていくからすごくありがたい竏秩B
 信州大学農学部の学生寮「中原寮」は、校舎からほどなく離れた雑木林の中にある。古ぼけた外観、内部もお世辞にもきれいとはいえないが、現在約50人の学生らが仲間との毎日を楽しみながら生活している。
 寮長になったのは今年6月。しかし、寮長は半期ごとの交代となっているため、11月21日をもって後任にバトンを引き継ぐ。
 「(寮長は)すごいしんどい仕事だったけど、一緒にやってきた副寮長2人がすごく良くやってくれたし、いろいろあったけど終わってみればいい思い出」と振り返る。
 ◇ ◇
 北海道出身。松本キャンパスで過ごした1年目は一人暮らしをしていたが、南箕輪キャンパスへ移った2年目、中原寮へ入寮した。
 下見の時、遠めから建物の外観を見た。なんとなく中に入れないような雰囲気。そのまま中を見ることなく、入寮を申し込んだ。 そのため、部屋と部屋を仕切る壁がベニヤ板一枚ほどの薄さしかないことを知ったのは入寮後のことだった。部屋の中では隣の部屋の寮生がティッシュペーパーを引き出す音すら聞こえてくる。
 「最初は隣が先輩だったので緊張したけど、すぐに慣れました」と笑う。

南箕輪村<br>信州大学農学部の学生寮「中原寮」の寮長<br>松浦崇裕さん(23)

 最初は何も分からなかったが、先輩たちは優しく、寮のルールも丁寧に教えてくれ、すぐに打ち解けることができた。また、毎晩のように繰り広げられる夜のばか騒ぎは、修学旅行のようで楽しかった。
 「実家が北海道なので正月もあまり帰れないんです。一人暮らししていた1年の時も帰れなくて、その時は一人で正月を迎えて『こんなものか』って感じていたんですが、寮に入った2年の時は、正月に実家に戻らないほかの寮生らとぐだぐだと酒を飲みながら寝正月。何年前の先輩なのか分からないOBがシカの足を土産に持ってきてくれたり。わいわいと騒いで楽しかったですね」と語る。
 入って半年ほどしたころ、バイト、勉強、寮での委員会活動を繰り返す生活に追われ、自分の時間がなくなってしまった。精神的に疲れ果て、落ち込んでいた。そんな様子を見た当時の寮長だった先輩は、「お前はもっと遊べ」と声をかけてくれた。その一言でもやもやした気持ちすっと楽になった。その後は、遊ぶことも大切にするようになり、再び元気を取り戻した。
 「その時はすごくありがたかったね。それぞれが自分とは違う価値観を持っているので、そういう人たちとの生活を通して、自分の価値観も広がっていく」と語る。
 ◇ ◇
 寮長からは離れるが、卒業までは仲間とともにこの中原寮で学生生活を送るつもりだ。
 新寮長に向けては「時々で起こる問題も違うし、波瀾(らん)万丈だけど、いい経験になる。とにかく頑張ってくれって言いたいです」とエールを送る。
 「多分、今後はどこへ行っても暮らせると思う。けど、寮の中は結構甘えもあるから、一般の社会では通用しないかも。でも、人としては成長できたと思います」

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