信州大学農学部で持続的農業と環境をテーマとした国際シンポジウム開催
南箕輪村の信州大学農学部で2日、国際シンポジウム2007「持続的農業と環境:アジアネットワーク」があった。「持続的農業と環境」をテーマに、アジア7カ国の大学教授8人がそれぞれの研究を発表。生物多様性が環境に優しい農業に果たす役割や環境負荷を減らすための取り組み、その効果などを示した。
異常気象などが地球規模で深刻化する中、緊急課題となっている食料の確保や環境と調和した農業について考えるために開催した国際シンポジウムで、2部構成。
「アジアにおける農業と環境負荷」をテーマに展開した第2部では、同学部の萩原素之教授=写真=が、環境負荷が問題となっている水稲栽培におけるリン酸施用の減量化に向けた研究について発表。1960年以降、日本では収量の向上などを目的として水稲栽培でリン酸が多量施用されてきた一方で、琵琶湖のアオコを大量発生させるなどの環境負荷が発生していることから、「リン酸施用を減らすことが求められている」と指摘。そんな中、長年にわたりリン酸が多量施用されてきた黒ボク土地域で試験的にリン酸施用を減らして水稲栽培した結果、生育、収量に変化がなかったことから「現在の推奨施用量の25縲・0%の削減が安全にできる」とし、これまでの間に土壌へ過剰供給され、蓄積されたリン酸を有効に利用していくことで「長期にわたってリン酸の大幅削減が可能」と語った。
そのほかにも、環境負荷低減に向けてタイ北部で始まった新たな取り組みなどについて各教授が研究の成果を示し、参加者の関心を集めていた。